アサガオにキュウリにゴーヤ。この季節、様々なツル植物が軒先や畑をにぎわせているのではないでしょうか。
そこで今回は、植物の「ツル」にスポットをあててみようと思います。夏休みの自由研究の参考にどうぞ。
目次
巻く・つかまる・ひっかける。ツル植物あれこれ。
ひとくちにツル植物といってもさまざまなタイプがあります。
茎でまきまきタイプ
アサガオやフジのように、茎が巻き付いていくタイプ。写真は、妻の実家の家庭菜園で栽培しているインゲンマメのツルです。
植物学者の間では、写真のようなツルの巻き方を「左巻き」とするのが、慣例のようです。でも、ツルと巻き方が同じ右ねじのらせんは、ねじを右に回すと進むことから「右巻き」と呼んでいる。なんだかややこしいですね。
ちなみに、アサガオやインゲンマメは左巻きであるのに対し、フジの仲間には右巻きのものがあるそうです。ツル植物の巻き方を調べるだけでも面白そう。
巻ヒゲつかまりタイプ
キュウリやゴーヤのように茎から「巻きヒゲ」をのばしてつかまるタイプ。こちらの写真も妻の実家の家庭菜園より、キュウリの巻きヒゲです。
巻きヒゲは、何かにつかまるために特化した部分です。これが、植物の茎やひもなどに巻きつくことで、植物のからだを支えています。巻きヒゲは、先端が何かに巻きついた後、付け根の方かららせん状にねじれていって、バネ構造をつくるのが特徴です。
ガッシリひっかけタイプ
そして、ツタの仲間ようにカギや吸盤、根を使って木の幹や塀や壁に引っかかるタイプもあります。写真は、暫定。妻の実家の塀に生えているツタの写真を撮り忘れたので、後日差し替えます。
このように、ツル植物にはさまざまなタイプがありますが、今回は最初の2つのタイプについて、考えてみたいと思います。
ツル植物はどうやって支柱やひもをつかまえているの?
ぐるぐる回ってつかまえる。ツル植物の「回旋運動」
アサガオのツルは、左回りに首ふり運動をしていて、ツルの先端が支柱などにぶつかるとそれに巻き付いていきます。この運動を「回旋運動(かいせんうんどう)」と呼びますが、この運動が地球の重力と深い関係があるのではと、「進化論」で有名なダーウィンによって指摘されていたんだそう。
そして、日本でこれを裏付ける遺伝子が発見され、無重力だとアサガオは支柱に巻きつかないのでは?という仮説を確かめる宇宙実験の計画があるようです。
巻きつくところがないと、枯れてしまう!?
過去の実験によれば、アサガオの回旋運動を妨害して、ツルを巻き付けないようにしてしまうと、そのツルは枯れてしまうそうです。
実際にアサガオで確かめることはできませんでしたが、キュウリの巻ヒゲをよく観察してみると、巻きつくことができなかった巻きヒゲの中に、写真のような先端が枯れてしまっているものが、いくつか確認できました。
何かに巻き付く見込みがないものは、あっさり枯らしてしまう。何とも合理的なシステム!ツル植物ってすごい。
巻きヒゲの巻きの逆転。その理由を考えてみた
巻きヒゲが「らせん状」に巻くメカニズム
巻きヒゲは、どのようにばねのような形をつくっているのか―。
ヒゲの先端が何かにぶつかり、刺激を受けると、巻きヒゲの繊維の片方が固くなって縮む。その結果、固くなった部分を内側にヒゲがぐるぐると巻き始めるのだそう。この巻きヒゲがバネの役割を果たし、風が吹いたときの揺れや実の重さにより強く耐えられるようになる。
すごい!すごいぞ巻きヒゲ。
途中で巻き方が逆転する巻きヒゲを発見!
キュウリの巻ヒゲを観察してみると、途中で巻き方が逆転しているものを発見しました。写真の赤い矢印のところで巻き方が変わっているのがお分かりいただけるでしょうか?これにもきっと理由があるはずだと、ちょっとした実験をしてみました。
実験Ⅰ:バネの力が増すか確かめてみる【動画】
私が考えた仮説は、「バネの力が増すのでは?」というもの。
これを確かめるために、巻きヒゲに似たものを探しに百円ショップへ。ありました!写真中央にあるような、カギや携帯電話などをひっかけるホルダー。あとは、棒磁石とメジャー。子どもたちがままごとに使うキュウリを拝借し、実験開始です。
実験では、同じ方向に巻いたバネと、途中で巻き方が逆転したバネにそれぞれ同じ重さの重りをつけた時、そののび具合を比べてみました。もし、逆転した方のバネの力が強いのであれば、バネののびが短くなるはずです。
重りには、おもちゃのキュウリを考えたのですが、軽すぎたので、テープで棒磁石をはって使いました。重さはおよそ40グラム。その結果はこちら。
※注意:動画はBGMが流れます。
キュウリの巻きヒゲの巻き方が途中で逆転しているのを発見。その理由を実験で確かめてみた。バネの力が増すのでは?という仮説を検証。ちなみに私、物理が苦手です。#父さんの自由研究 https://t.co/Uqy8NPwnj1
— 父さん がんばる。 (@origuchi_dai) 2016年6月19日
のび具合は、全く同じでした。つまり、影響なし。巻き方の逆転は、巻きヒゲが引っ張られる力に対して、影響をおよぼしているようではないことがわかりました。
実験Ⅱ:ねじる力が緩和されるか確かめてみる【動画】
バネの力は変化なし。そして、行き詰まる。もはやこれまでか。と、途方にくれながらホルダーを引っ張ったり戻したりしていると・・・フックの付け根の金具がクルクルと回転するじゃないですか!
どうやら、引っ張ることで、回転する力が生まれているようです。ということは、巻きヒゲにとってこの力は、ヒゲをねじり切ってしまう可能性があるのでは。そこで、先ほどの実験同様に途中で巻き方を逆転させてから、一方の端を固定してから水平方向に引っ張ってみました。※注意:動画はBGMが流れます。
キュウリの巻きヒゲの巻き方が途中で逆転しているのを発見。その理由を実験で確かめてみた。ねじる力が解消されるのでは?という仮説を検証。#父さんの自由研究 https://t.co/gySBEECTvG
— 父さん がんばる。 (@origuchi_dai) 2016年6月19日
巻き方を逆転させると、ねじりの力が解消されました!ちなみに、巻きヒゲの巻き方が逆転するポイントを「反旋点(はんせんてん)」と呼ぶそうです。
巻きヒゲが途中で巻き方を逆転させているのは、風などの力で引っ張られる際に、ヒゲの付け根部分にかかるねじりの力の影響を解消して、切れるのを防ぐための工夫だった。本当にすごいよ巻きヒゲ!!
まとめ:寄らば大樹の陰。ツル植物の生きざまを考える
ツル植物は、回旋運動や反旋点など様々な工夫をしながら、ほかの植物などに巻きついたりつかまったりしています。そんな、ツル植物の戦略とは、何なのでしょうか?
ツル植物が生活している森には、背が高くがっしりとした幹を持つ樹木がたくさんの葉を生い茂らせています。そのため、森の中は薄暗く、背の低い植物たちは樹木の葉からわずかに差す太陽の光を受けることしかできません。光合成によって成長する植物にとって、これは死活問題です。
そこで、ツル植物たちは、背の高い樹木に巻き付くことで、からだを支える頑丈な幹を持たなくても、より高い所まで成長し、太陽の光を浴びることができます。加えて、太くて頑丈な幹を形成する必要がないツル植物は、樹木より少ないエネルギーで成長することができるのです。
何かをつかみとるために、柔軟に対応しながら常に上を目指し成長していく。そんな、ツル植物たちの生きざま。いきものに、また教えられました。
※うーん、時間切れ。参考にしたサイトは後日、まとめます。
ダンゴムシ迷路の実験が、想像以上の反響でとても驚いています。
「子どもの夏休みの自由研究ネタに使えそう!」という声をいただきましたので、これからも定期的に「父さんの自由研究」コーナーをお届けしたいと思ってますので、感想やアドバイスなどいただけると嬉しいです。
アサガオやキュウリなどツル植物は、身近な植物です。今年の夏休みは、ツル植物の不思議について、お子様と一緒に自由研究してみてはいかがでしょうか。
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