米ラスベガスにいるピート・ローズ(レッズなど)のもとを訪れたのは、マーリンズのイチローが日米通算ながらローズの大リーグ最多安打記録(4256安打)に並び、超えた4日前のこと。
イチローがローズの記録に迫っていたため、その2週間ほど前からインタビューを企画し、知り合いの米メディアの記者に相談すると、ローズにインタビューしたことがある別の記者に連絡を取ってローズのマネジャーの携帯番号、メールアドレスを調べてくれた。ところが、そのマネジャーには電話をしてもつながらず、留守番電話に伝言を残しても折り返しはない。
メールを入れて、さらにローズの公式サイト「Home of the Hit King」のカスタマーサービスにもメールを送ってみる。すると数日後に返信があったが、「ローズは今、インタビューに応じない」と一言。送信者のアドレスはカスタマーサービスだったので、誰が書いて送ってきたのかわからない。
また、マネジャーに電話をする。つながらない。留守番電話に伝言を残す。連絡はない。
■「直接、行ってみたらどうだ」
そんなときに先ほどの米メディアの記者がアドバイスしてくれた。
「以前に私の友人がサインをもらいにいったとき、他に人がいなくて、かなり長い時間雑談ができたということだ。直接、行ってみたらどうだ」
アポなし。飛び込みの勧めである。ただ、マネジャーに連絡がつかない以上、それしかない。
公式サイトでローズのスケジュールを調べると、6月11日から14日(正午から午後4時30分)までラスベガスのマンダレーベイホテルに併設されたショッピングモールの店内でサイン会をしていることがわかった。当初、週末は混むかもしれないと聞いたので、14日の火曜日に行くことにした。
ところが、読みを誤る。イチローが7~9日のツインズとの3連戦で7安打を打ち、その時点でタイ記録まであと5本と迫ったのだ。14日までに決まる可能性が出てきたので(実際14日の試合を残り1本で迎えている)、急きょツインズ戦の後、週末にぶつかるとはいえ、11日にラスベガスへ行くことに決めた。
当日の朝、シアトルから飛行機に乗り、午前11時ごろにはホテルについた。下見がてら、ローズがサイン会をする「アート・オブ・ミュージック」という店に行ってみる。するともう2人の店員が「きょうは正午からローズのサイン会が行われますよ」と呼び込みをしている。声をかけてサインをもらう仕組みを聞くと、カウンターに連れていかれる。そこで女性に説明を受けた。
「こちらにある写真は75ドル。ボールは99ドル。このバットは199ドル。このユニホームはセールで399ドルです。このユニホームにはバットもついてきます」