文/後藤和智(同人サークル「後藤和智事務所OffLine」代表)
「ヤンキー」が新しい経済の起爆剤?
私は2000年代から若者論の動向を観察してきましたが、理論の正しさなどは度外視して「いま最も『熱い』若者論者は誰か?」と聞かれたら、間違いなく、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平と答えるでしょう。
原田は2014年に刊行された『ヤンキー経済——消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)を皮切りに、「このような〈新しい若者〉がこれからの経済を作り出す」という趣旨の書籍を刊行しています。
2014年12月には『女子力男子——女子力を身につけた男子が新しい市場を創り出す』(宝島社)、2015年には今までの「オタク」とは違う新しいタイプの「オタク」が出現しているという『新・オタク経済——3兆円市場の地殻大変動』(朝日新書)を刊行。
2016年に入ってからは、『パリピ経済——パーティーピープルが市場を動かす』(新潮新書)、『ママっ子男子とバブルママ——新しい親子関係が経済の起爆剤となる』(PHP新書)を2ヵ月連続で刊行し(前者:4月、後者:5月)、さらに6月には『18歳選挙世代は日本を変えるか』(ポプラ新書)と、政治関係の著作まで出しています。
特に『ヤンキー経済』は、今までの「上昇志向と都会(東京)への憧れを持った」若者とは全く違った、「地方でゆるく生き、東京への憧れを持たない」若者を「マイルドヤンキー」と名付け、それが新しい経済の原動力となると主張し、その主張は経済誌などでも取り上げられるようになりました。
詳しくは後述しますが、もともと2008年頃から、若者論の間に、そのような「新しい若者」を語るキーワードとして「ヤンキー」という言葉はあったのですが、原田はそれを「市場の言葉」にしたと言うことができます。
いくぶんか改善してきたとはいえ、いまだに不況にあえぐ我が国の経済において、「新しい経済成長のキー」となる若者の存在は魅力的に映るのかもしれません。
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