人気教授のMBAコラム
MBAとは何かと同様に「学生数」とは何かも重要な話題です。学生数とは、文部科学省が毎年実施する学校基本調査に各学校法人が5/1時点で在籍する学生の数(大学院は専攻別に集計)を報告する値を指します。さらに、この報告に準拠して教育研究に関する数値を公表する事が学校教育法施行規則で義務づけられています。
また、文部科学省は1科目単位で授業科目を履修して単位認定する方法を「科目等履修生(いわゆる単科生)」と呼び、学校基本調査においては学位取得を目指す「専攻別学生数(いわゆる本科生)」とは区分して報告します。以前の記事で、AERAの記事における数字の中に、結果として極端に卒業率が低くなっている学校があるとの記述をしました。この記事の一覧表で、修了者と合格者の数字が、各スクールの「専攻別」のものだとすると、卒業率で考えると、あれ?と思ってしまう部分があったことを申し上げたかったわけです。記事には、アンケートに基づき編集部作成とありますので、何らかの定義をもって集計されたのだと思いますが、少なくとも本学の数字は専攻別の本科生数です。
大学設置基準(科目等履修生等)
第三十一条 大学は、大学の定めるところにより、当該大学の学生以外の者で一又は複数の授業科目を履修する者(以下「科目等履修生」という。)に対し、単位を与えることができる。
ビジネススクールを比較する上で在籍者数も重要ですが、もう一つ重要な数字は入学者の最終的な卒業率。いわゆる最終卒業率(Retention Rateと呼ばれます)は、欧米社会において教育の質的な面を議論する上でも利用される値です。高いほど良いという単純なものではなく、社会人受講生が多ければ業務上・健康上の理由で卒業を断念するケースが増加しやすくなりますし、高い学修成果を求めて成績評価を厳格に実施している場合も最終卒業率は低下する事になります。
生涯教育のニーズが深まる中で、ビジネススクールに入学する人の目的も多様になっています。またオンライン授業といったテクノロジーの進展も、ビジネススクールと受講者の接点を多様にしています。教育機関の受講者との関係やチャネルが多様化・多数化する中で、在籍者や修了生のとらえ方もまた難しくなっていくことでしょう、MBA教育の質的な比較が充実する日が来ることを願っています。
この記事の著者
神戸大学経営学部卒業後、大阪大学経済学研究科にて修士/博士(経済学)を取得。製品開発戦略を主な研究対象とし、規格競争分析に関する論文を多領域に亘って執筆。近年は事業継承に関する研究に取り組む。現在、ビジネススクールではMBAプログラムの立ち上げからカリキュラム運営まで幅広く携わり、ケースライティングのアドバイザーを担当。 現在は名古屋商科大学教授(経営学部長)
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