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【E3 2016】モダンアートの文脈もつVR対応作『Bound』を体験してみた

家庭用ゲーム PS4

【E3 2016】モダンアートの文脈もつVR対応作『Bound』を体験してみた
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さまざまな色のタイルで埋め尽くされた幻想的な世界を、仮面をつけたバレリーナのようなキャラクターが、踊るように移動するプラットフォーマー『Bound』。『God of War』のようなAAAタイトルから、『風ノ旅ビト』などのインディゲームまで、多彩な作風を誇るソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)サンタモニカスタジオによるPS4専用タイトルです。

開発スタジオはPS3で『Linger In Shadows』『Datura』(いずれも日本未発売)をリリースしたPlastic Studio。海外では8月16日にリリースが決まった本作ですが、E3 2016にあわせて開催されたPlayStation Press Conference終了後の試遊会では、新たにPS VR対応作品としてもデモが行われていました。通常版とあわせてプレイできましたので、インプレッションをお届けします。


本作の最大の特徴は、ベクタグラフィックスで描かれ、常に変化を繰り返すビジュアル表現です。バレリーナのように舞い踊りながら移動する主人公にあわせて(バレリーナのMaria Udodと振り付け師のMichael Adam Goral氏がモーションキャプチャに協力したとのこと)、世界がさわさわと反応します。これによって、まるでバウンド(=タイトルの語源とも思われます)しながら移動するような感触が味わえます。

これがテレビゲームの原点ともいえる、インタラクションによる快感を思い起こさせてくれるのです。開発者は本作のビジュアルデザインについて、バウハウスに端を発するシュプレマティスム・コンクレティズム・ネオプラスティシズムに影響を受けたとブログで語っています。つまり本作は、いわば戦前のモダンアートがテレビゲーム、そしてVRという最先端技術を得て現代によみがえったという、ユニークな文脈をもつ作品だといえます。


芸術が鑑賞者の解釈に委ねられるように、本作もまたナラティブを意識したゲームとしてデザインされており、ストーリーも最小限に抑えられています。ゲームジャンルはプラットフォーマータイプのパズルアクションで、さまざまな仕掛けをクリアしながらステージを先に進んでいくというもの。『風ノ旅ビト』や『モニュメントバレー』のようなプレイ感覚が得られました。

会場では前後編からなる2つのデモが体験できました。前編は女王の命令を受けた王女(主人公)が、王国を荒らすモンスターを止めるために進んでいくものの、強力な攻撃の前にダウンするまで。後編は女王の助言でステージ奥底に潜むセイバーに会った王女が、助けを得られずに感情を爆発させるまで。なお前編のラストはチェス盤を囲む3人の親子のイメージが表示されて唐突に終了するという、意味深な内容となっていました。


このように、ただ遊ぶだけでもユニークな内容のゲームでしたが、「VRモード」でプレイすると、また異なる感覚が得られました。内容的にはまったく同じ三人称視点のプラットフォーマーなのですが、VR対応になっただけで、文字通り世界の中に入り込む感覚が強まるのです。ミニマルな映像世界に包まれながらプレイする感覚は新鮮で、移動するだけで楽しさが満ちあふれてくるという、VRアートとでもいうべき内容でした。

日本での発売は今のところ未定ですが、SIE吉田修平氏は他のインタビュー記事で、できるだけ多くのVRゲームを日本のユーザーにも体験して欲しいという意向を示しています。SIEサンタモニカスタジオのタイトルということもあり、日本での展開も期待できるのではないでしょうか。ともあれ、ゲーム体験の可能性をまた一つ広げる、インディゲームならではの作品だと感じました。
《小野憲史》

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