奥村智司、吉田拓史 木村司 井石栄司
2016年6月19日23時20分
黒い服を身につけた数万人の人たちが、静かに壇上を見つめていた。元米兵が逮捕された事件を受け、那覇市で19日に開かれた沖縄県民大会。犠牲になった20歳の女性を救えなかったという自責の念、日米両政府への怒り、あまたの被害者を身近に知る悲しみや苦しみ……。様々な思いが会場を覆った。
「あなたのことを思い、多くの県民が涙し、怒り、悲しみ、言葉にならない重くのしかかるものを抱いている」
名護市の大学に通う玉城愛さん(21)が壇上で話し始めると、会場は静まり返った。事件で命を落とした被害女性(20)と同じうるま市に住み、今回の大会で共同代表を務めた。
「面識のない私が発言することで、あなたや、あなたが大切にしてきた人々を傷つけていないかと日々葛藤しながら、しかし、黙りたくない。そういう思いをもっています。どうぞお許しください」
安全保障関連法への反対運動に取り組む若者グループ「シールズ琉球」のメンバー。事件にショックを受け、「被害者は私や、私の友人だったかもしれない」と苦しんできた。
声を詰まらせ、手やハンカチで涙をぬぐいながら語り続けたスピーチは約8分間。終わると、同じように目に涙を浮かべた参加者たちから、この大会でもっとも大きな拍手が起きた。
大会で何を伝えるべきか。玉城さんはぎりぎりまで悩んだ。たどり着いた答えは、沖縄を軽視しているように見える本土への怒りだ。
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朝日新聞社会部
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