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【世界裏舞台】
「国民」用い始めた〝普通の野党〟ではない共産党 実現性ない主張で国民を当惑 作家・佐藤優
日本共産党が主張する、安全保障関連法廃止を目的とした「国民連合政府」構想に強い違和感を覚えている。昔の話になって恐縮だが1974年に社会党が国民連合政府構想を打ち出したことがある。このとき共産党は民主連合政府の樹立を主張していた。さらに共産党は、人民的議会主義を強調していた。ここで注目されるのは、共産党が「国民」という言葉を意図的に避けていたことである。
マルクス・レーニン主義(なぜか共産党の人たちは、この言葉を嫌い科学的社会主義という用語を用いたがる)のドクトリンによれば、プロレタリアート(賃金労働者階級)は、祖国を持たず、ブルジョア的な国家の枠を認めない。特定の国家に帰属する国籍を分節化の基準にする国民という概念を忌避したのである。その共産党が、国民連合政府構想という形で、あえて国民という用語を強調したことは、ナショナリズムに軸足を移すことによって権力基盤の拡大を意図しているからと筆者は見ている。
しかし、共産党が国民政党になったと見るのは危険だ。なぜなら、あの政党は普通の政党ではないからだ。この点について産経新聞の有元隆志政治部長が、『日本共産党研究 絶対に誤りを認めない政党』(著・産経新聞政治部)で以下の重要な指摘をしている。
〈今再び、共産党は他の野党を巻き込んで政権獲得への意欲をみせているが、当時(筆者注・共産党が「民主連合政府綱領」を発表した73年)と今日も「日米安保廃棄」、「自衛隊の段階的解消」との共産党の主張は捨てていない。「社会主義・共産主義社会をめざして」という綱領もしっかりと根付いている。
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