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ホーサクっ

小説のようなもの400字くらいで。

ニューヨーカーみたいに

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出張先のホテルの朝。6時にセットしたアラームより5分早く目覚めた。深緑色の遮光カーテンを開けると朝日のまぶしさに目を細める。携帯電話にいれてあるラジオ体操第一をすませるとつよい空腹感に襲われた。ぐーぐー

テーブルの上にある聖書をパラパラとめくって読んだあと「アーメン」、朝食チケットを持って食堂に行く。グッモーニン!と食堂係にチケットを渡すとプレートを片手にバイキングサービスの朝食を次々とのっけていく。

一番最初にヒヨコ色のフワフワしたスクランブルエッグを山盛りに盛り付け真っ赤なケチャップを少々のせる。次に熱湯で茹でたソーセージ3本とマスタードをたっぷり、レタス中心のサラダにミニトマトをつけてクルトンをたっぷりのせてドレッシングをちょっぴり。

プレートがいっぱいになったら窓際の席に一旦置きに行き、今度はドリンクコーナーに行く。コーヒー、ミルク、100%オレンジジュース、紅茶にミネラルウォーターがある。オレンジジュースを注いで席に座る。お待たせしました、と焼き立てパンが運ばれてきた。ロールパンに苺のジャムとバターを塗って、いただきます、をする。はむっはむっ!

プレートの朝食をペロリとすべて平らげる。ブラックコーヒーを飲みながら窓の外を見ていると地元のサラリーマン達がホテルに備え付けてある灰皿にあつまりタバコを吸っている。僕はプレートをかたずけて部屋に戻り、歯を磨き、髭を剃り、髪の毛を整えて、チェックアウトする。ホテルを出るとタクシーを捕まえて、今日の現場の行き先を伝えた。

「メトロポリタンミュージアム、プリーズ」

「あんだって?」つよい訛りの運転手。

「あ、いや、河口湖美術館までお願い」

「あいよ!」 (655字)