今回の参院選は、日米など12カ国が合意した環太平洋連携協定(TPP)や、政府主導の農協改革に対する有権者の審判の機会ともなる。安倍晋三首相はTPPをてこに輸出を拡大する「攻めの農業」を強調するが、自民党が伝統的に票田としてきた農村部では、賛否が割れている。
◇輸出拡大の掛け声
TPPが参加各国の承認を経て発効すると、世界全体の国内総生産(GDP)の4割近くを占める巨大な自由貿易圏が誕生する。農家や企業が海外に販路を広げる好機になるとして、安倍政権はTPPを「成長戦略の切り札」と位置付ける。
安倍首相は今月9日、山形市内での街頭演説で農林水産物・食品の輸出額を2020年に1兆円へ伸ばす政府目標の1年前倒しに言及した。しかし、輸出拡大策やTPPの影響に関する議論はまだ十分でなく、「政府の見通しは甘い」(関西の地方自治体)との声も少なくない。
国内農家の間では、安価な外国産農産物の流入への警戒が強い。TPPでは約8割の農林水産物の関税が撤廃される上、国会決議で「聖域」とされた重要農産物でも、コメは米国向けなどに無税の輸入枠が創設され、牛・豚肉は段階的に関税が大幅に引き下げられるからだ。
農家の不安を和らげるため与党は、畜産農家の赤字補填(ほてん)を柱とする「総合的なTPP関連政策大綱」をまとめた。だが、その裏付けとなるTPP関連法案の成立は今秋以降に先送りされている。
◇選挙後へ身構え
全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限縮小など、農協組織を約60年ぶりに大改革する改正農協法が今年4月に施行された。安倍政権が掲げる「岩盤規制」打破の一つとされ、これまで全国の地域農協の頂点に位置してきたJA全中は、19年9月末までに一般社団法人に移行し、存在感が大きく低下する。
JA全中の奥野長衛会長は「(政府とは)対話を続けることが大事だ」と政権との協調路線を取るが、JAグループ内には反発が残る。特にコメどころの東北地方では農協系政治団体が参院選で与党候補の推薦を見送り、「自主投票」とする動きが広がる。
自民党はTPP発効を見据えた農林水産業の強化に向け、国民の人気が高い小泉進次郎農林部会長の下で農業資材の価格引き下げなど流通構造の見直しを進める。具体化は参院選後に先送りされたが、ここでも矛先が農協に向かうとみる関係者が多い。
加えて農林水産省の事務次官に、経営局長として農協改革を仕切った奥原正明氏が17日就任した。農協関係者は「参院選後に農協改革第2弾が始まる」と身構えている。
- 安倍晋三(あべしんぞう)
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- 所属院 選挙区 政党:
- 衆議院 山口県4区 自民党
- プロフィール:
- 1954年9月21日生 初当選/1993年 当選回数/8回
- (写真提供:時事通信社)
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