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プログラミング教育への注文

2016/6/19付
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 文部科学省は小学校におけるコンピューターのプログラミング教育を2020年度から必修化する方針を決めた。

 情報通信機器は今や日々の生活で欠かせない存在だ。子どもたちが将来、どんな職業に就くにしても情報通信技術(ICT)の心得がある方が望ましい。

 子どもたちが早い段階からICTと慣れ親しむことの大切さに異論はない。米国ではオバマ大統領がコンピューター教育を充実する計画を今年初めに発表した。多くの国が情報関連の教育を手厚くする策を講じている。

 一方で人工知能などの新技術が産業競争力を左右するといわれ、ICT系の人材不足が深刻で早期の育成を望む声もある。足元の人材確保と息の長い教育課程の見直しとは次元が異なる話だ。混同してはならない。

 簡単なソフトウエアでロボットを思い通りに動かすといった学習教材がすでにある。大事なのは、論理的な思考力や問題解決能力を養うことだ。プログラミングのスキルではない。

 プログラムの作成は、問題を解決するため必要な手順を考えることにつながる。身の回りにある多様な情報を自分なりに読み解き、使いこなす能力も求められる。

 そうした力はこれからの社会をよりよく生きるうえで、読み書きの力と同様に欠かせない普遍的な力であるともいえる。

 課題は多い。まずプログラミングを通じて子どもたちの論理的思考力の向上につなげられる教員をいかに養成するかだ。英語教育の拡充など小学校の教員にかかる負担がただでさえ増す傾向にある。企業OBなど学校の外から力を借りるのもいい。また校内に安全で使いやすいネット利用環境を整える必要もある。

 いずれも時間がかかる。急ぐ必要はあるが、あわてて生煮えの状態で子どもたちに与えることは避けたい。中央教育審議会などでさらに議論を重ね、より望ましい取り組み方を模索してほしい。

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情報通信技術、教育、プログラミング教育、コンピュータ、文部科学省

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