殺害容疑者と極右団体の関係を重点捜査
【ロンドン矢野純一】英国で欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が23日に迫る中、残留運動を推進していた女性下院議員、ジョー・コックス氏(41)が射殺された事件で、地元のウェストヨークシャー警察は17日夕、議員を殺害した容疑者の男(52)と極右団体の関係に重点を置いて捜査していると発表した。
同警察は、男と極右団体との関係と共に、精神状態が不安定で長く心理療法などを受けていた点についても慎重に捜査しているとした。現時点では単独犯との見方を示した。
極右団体の動向を監視する米国の市民団体「南部貧困法律センター」は同日、男が1999年に米国のネオナチ団体から複数の書籍を通信販売で購入していたと発表。独自に入手したとする容疑者の名前や住所が印字されたレシートの写真も同時に公表した。
購入した書籍には手製銃の製造方法を説明したマニュアル本も含まれていた。地元メディアに対し、複数の目撃者は「(襲撃時に)男は手製のような銃を手にしていた」と証言していた。
男と極右団体との関連について地元メディアは、襲撃時に「ブリテン・ファースト」と英国にある極右団体名を叫んでいたと報じている。また、南アフリカの白人至上主義の極右団体の雑誌の購読歴があると伝えている。
一方、離脱・残留派の双方は、国民投票に向けた運動の中断期間を19日まで延長することを明らかにした。また、英下院は、23日の国民投票に向けて中断していた議会を20日にいったん再開し、コックス氏を追悼する討論を行うことを決めた。