「係争委の判断尊重」沖縄知事、当面提訴せず
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を巡り、国土交通相による是正指示の適法性について判断を示さなかった総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」の決定を受け、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は18日、県庁で記者会見し「係争委の判断を尊重し、国が県と問題解決に向けた実質的な協議を行うことを期待したい」と述べた。「この問題は法廷闘争で解決を図るべきものではない」と、当面は提訴しない考えも示した。
係争委の審査は辺野古移設を巡る代執行訴訟で3月に国と県が合意した和解条項に基づく手続き。和解成立後、国交相が知事の辺野古埋め立て承認取り消しの撤回を求める是正指示を出し、知事が不服として係争委に審査を申し出ていた。
これに対し、係争委は17日、是正指示の適否を決めても国と県の対立関係は改善しないと判断し、両者に協議を呼び掛けた。ただ、和解条項に基づけば、係争委が是正指示の適法性を判断し、いずれの結論になっても県が提訴する見通しだった。判断を示さなかったことは国、県双方にとって「想定外」。県が決定を不服とせず、提訴しないとの方針を示したことで、国の対応が注目される。県が是正指示に従わない状態が続くため、国が違法確認訴訟を起こすことも想定される。【佐藤敬一】