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飛行機のつばさは通常、イラストのように横から見ると、下の面より上の面の方がふくらんでいる形をしています。
空気は飛行機が前進すると、イラストの矢印が指す方向へつばさの前から後ろヘとつばさの表面(翼面)にそって流れますが、上の面の方がふくらみが大きいことにより、空気の流れの速度は下の面より上の面の方が大きく加速されます。空気などの気体は、その圧力は速度が速くなるほど低くなり、逆に速度が遅くなるほど高くなるという性質をもっています(ベルヌーイの定理といいます)。このため、つばさの下の面の圧力が上の面の圧力より高くなることから、全体的につばさは空気から上向きに力を受けます。これが飛行機を浮かせる力(揚力)となるのです。
この揚力は、飛行機の速度が速ければ速いほど大きくなり、飛行機は空を飛べるのです。
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ジェットエンジンは飛行機に搭載されるエンジンの一種です。また、ジェットエンジンの力で飛ぶ飛行機がジェット機です。
プロペラ機がプロペラで空気をそのまま後方に押し出して前進するのに対して、ジェット機では、(ジェットエンジンの内部で)吸い込んだ空気を加圧し、燃焼させて生じた高温高圧のガスを勢いよく噴出し、前進するので、より高速に進むことができます。
飛行機を音の速さの約3倍、時速三千数百キロといったスピードで飛行させることも可能です。
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このようにジェットエンジンの力で飛行機が速いスピードで前進すると、翼には空気によって浮かび上がる力(揚力)が発生します。こうして飛行機は大空を飛ぶことができるのです。
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エンジンにはピストンを使うピストン・エンジンと回転機械を使うタービン・エンジン、そして回転機械を持たないラムジェットエンジンがあります。航空機に搭載するタービン・エンジンとラムジェットエンジンを総称してジェットエンジンと呼びますが、現在、航空機に搭載されているエンジンのほとんどはタービン・エンジンです。タービン・エンジンは陸上(発電装置等)や船舶(推進、発電装置等)に使う場合、ガスタービンと呼んでいます。
ジェットエンジンもピストン・エンジンも、吸気、圧縮、燃焼、排気の4つの作業を行っています。ただし、ピストン・エンジンは、1つの部屋で4つの作業を順番に行うため、力を出す燃焼は4回に1回しかできません。これに対して、ジェットエンジンでは、それぞれ専用の4つの部屋で同時に各々決められた作業を連続的に行うことができるため、力を出す燃焼も連続して行われ、小型でも高出力が得られるのです。 |
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ジェットエンジンが吸気、圧縮、燃焼、排気の4つの作業を行う様子を、順を追って見ていきましょう。 |
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ジェットエンジンは大別して4種類あり、用途に応じて使い分けています。 |
ターボジェット・エンジン
自力で吸い込んだ空気をすべて圧縮して燃焼させ、タービンを回転させた後、排気口から勢いよく噴射させることで高い推力を発生させています。主に戦闘機などの、高速スピードを優先する航空機に使われていましたが、燃費や騒音の問題もあり、現在ではあまり使用されていません。
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ターボファン・エンジン
ターボジェット・エンジンの入口にファンを取り付けたエンジンをターボファン・エンジンといいます。燃費が良く騒音を抑えられるため、大型のファンを取り付けたターボファン・エンジンがジェット旅客機や大型輸送機に使われています。また、現在では、戦闘機用にも旅客機ほど大型ではないファンを取り付けたこのタイプが主に使われています。
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ターボプロップ・エンジン
ターボジェット・エンジンの回転軸をさらに前方に伸ばし、回転軸に減速装置を取り付け、プロペラを回転しているのがターボプロップ・エンジンです。燃費に優れ、長時間飛行できる特性を持っています。主に小型旅客機に用いられます。
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ターボシャフト・エンジン
ターボジェット・エンジンに独立したタービンを最後尾に追加して、その回転シャフトを後方に取り出しているのがターボシャフト・エンジンです。ヘリコプターに多く使われています。
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■日本初のジェットエンジン「ネ20」 |
1944年日本海軍はピストン・エンジンに代わるタービンロケット(ジェットエンジン)の開発を進めていました。しかし、推力と寿命の問題をどうしても克服できずに悩んでいた時、ドイツから持ち帰ったジェットエンジンのたった1枚の小さな断面図を見た海軍は、そこに問題解決のヒントを見抜いたのです。それからわずか6カ月余りで初の国産ジェットエンジン「ネ20」が組み立てられ、さらに多くの人たちの協力を得て完成したのです。
太平洋戦争末期の1945年8月7日、日本が初めて開発したジェット戦闘機「橘花」に「ネ20」を搭載して松根油とガソリンの混合油を燃料に、千葉県木更津基地の飛行場を離陸、東京湾上空を高度600m、12分間の初飛行に成功しました。日本は世界で初めてバイオ燃料を使ってジェットエンジンを回し、初飛行に成功していたのです。
名前の「ネ20」とは、太平洋戦争当時、海軍はジェットエンジンと言う代わりに、これを日本語に置き換え「燃焼ロケット、あるいは燃焼噴射推進機」と言っていました。その“ね”を取って付けたものです。
その約1週間後の8月15日に終戦を迎え、当時完成した「ネ20」はことごとく破壊されてしまい、一時は『幻のジェットエンジン』となりました、1961年米国の大学で存在が確認され、その大学の好意で、現在はIHIの史料館で保全されています。 |
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■最新鋭の大型ターボファンエンジン「GEnx」 |
IHIが開発に参画している最新型大型ターボファンエンジン「GEnx」は、米国ボーイング社の次世代航空機「B787」(250席クラスの中型機)ドリームライナーや、「B747−8」(500席クラスの大型機等)へ搭載されます。
このエンジンは同クラスの競合機種と比べて最も燃費が良く、静かなエンジンとなっており、最新の技術が導入されています。
「GEnx」エンジンを搭載したB787やB747−8が世界中の空で飛び始めています。(開発者インタビューはこちら) |
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コージェネレーションシステム
IHIでは、ジェットエンジンを転用したガスタービンコージェネレーションシステムを提供しています。これはガスタービンで発電し、同時に生まれる熱で蒸気をつくり、電気と熱を併せて供給するシステムです。
一般の発電所に比べエネルギー効率が極めて高く、大量の電気や熱を必要とするビルや工場に導入すれば、省エネやCO2の削減が期待できます。また、発生した熱(蒸気)に余剰が生じてしまう場合、それをガスタービンに噴射して出力をアップできる、いわゆる熱電可変システム「IHI-FLECS」を独自に開発。エネルギーをムダにしないコージェネレーションシステムで地球環境保全の一翼を担います。
このように、先進のジェットエンジン技術は、コンパクトで高出力、起動/停止が迅速という特性により、都市や空など、様々な場面で活かされているのです。 |
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