土曜ドラマ トットてれび(5) 2016.06.09


(百歳の徹子さん)8時15分です。
・「ソプラノを歌う時は」・「より目にならないように」
(王さん)マーボー豆腐お待ち遠さま!あっ。
・「わさび、からし、こしょうなどは控えめに」・「お酒は、これは絶対止められない」皆様こんにちは。
本日から始まりました「徹子の部屋」でございます。
1回目の放送という事で私もそわそわしておりますがお呼びしましょう。
お待ち致しておりました。
どうぞ。
・ごめんください。
いらっしゃいませ。
どうぞ。
黒柳さんのお部屋でございますか?「さようでございます」。
(パンダ)
昭和51年ニューヨークから帰国したトットちゃんはこれまでと全く違う事をやってみる事にした。
「徹子の部屋」のスタートだ
「お〜タキシード…。
ああ。
お座り下さい」。
「恐れ入ります」。
もしもし徹子さん見たわよ〜とても面白かった。
まあうれしい!司会の時はねこの髪形にしようと思ってるの。
ほらだって聞き手の髪形がいろいろ変わるとねご覧になってる皆様がお話に集中できないでしょ。
そうねいいんじゃない。
毎日だものね。
本当?ありがとう。
じゃあ締め切りがあるからまたね。
ねえ聞いて!向田さんに褒められちゃった!あ〜本当ですか!向田さん知ってる?知ってますよ。
この番組の事を最初に褒めてくれたのは向田さんだった
今日はトットちゃんしか知らない作家向田邦子さんのお話
留守電向田さん黒柳です。
あらあなたこんな機械つけたのね。
フフッ。
じゃあお話しますね。
向田さんと聞いてトットちゃんが真っ先に思い出すのは留守番電話だ。
向田さんはいち早く留守番電話を取り付けた
まだ続きます。
留守電向田さん黒柳です。
ねえこれ早いのね。
急いで話すわね。
ねえでもね機械に話すっていうのも何だか恥ずかし…。
留守電向田さん黒柳です。
(伊集院)それ分かりましたから。
(向田)これ言わないと調子が出ないみたいです。
留守電電話をかける前にお話しする事を決めておかなきゃいけないって事ね。
みんな頭がいいのね。
私駄目駄目。
駄目だわ。
あっこの話…さっき聞いてましたこれ。
みんな頭がいいのね。
私駄目駄目。
駄目だわ駄目。
(電話が切れる音)あら駄目って言ってる時に切れちゃった。
向田さん黒柳です。
でね私のねあのチャックっていうあだ名あるでしょ。
チャックっていうあだ名はよくしゃべるから口にチャックをしておけっていう意味じゃないのよ。
(電話が切れる音)向田さん黒柳です。
向田さ〜ん!黒柳です。
多分ね「沈黙は金」だわ。
私ね老後はゆっくりゆっくりお話ししていこうと…。
向田さん黒柳です。
あのねお話たくさんしましたけどね電話したのはね今朝ね電車のね網棚の上にねタヌキがいたの。
タヌキよタヌキ。
すっごくかわいかったわ。
あっ誰も気が付かなかったのよ。
それでねタヌキもね気持ちよさそうに横になって寝ててじ〜っとね私が見てるとね。
(電話が切れる音)ねえ十円が9枚あったのに無くなっちゃった。
ねっちょっと十円貸して。
嫌です!留守電また今度お邪魔した時にじかに話すわ。
何だ結局来るんじゃないか!向田さん黒柳です。
あら伊集院さん皆様どうされたんですか?そんなニヤニヤ…何何?噂?噂されてたの?私。
じゃあ失礼します。
先生原稿の続き早くお願いしますよ。
うちもよろしくお願いしますね。
ねえねえ何何?何のお話してたの?何か面白い話してた?徹子さんの留守番電話の話があんまり面白いからおもてなしにご披露してたの。
何よおもてなしってあなた!もう…。
あらこれ?機械?そうそう。
へえ〜。
(向田)いいわよ締め切りの電話に追われる事もないしせっかく来た仕事の電話逃しちゃうっていう事もないし。
居留守も使えるし。
(向田)そう。
必需品よ。
・・「向田でございます。
私ただいま出かけておりましてこれは録音テープでございます。
私が話し終わりましてピ〜ッという信号音が出ましてからお名前とご用件をおっしゃって下さいませ」。
(「ピ〜ッ」という音)留守電向田さん向田さんですか?TBSラジオです。
「重役読本」の原稿あがりましたでしょうか?森繁先生怒っちゃって怒っちゃって…。
原稿大至急お願いしますよ。
向田さん来られました!お待たせしました。
申し訳ありませんお願いします。
(森繁)はいはいはいはい。
向田さんの脚本家としての才能を最初に見いだしたのは森繁さんだった。
以来6年間向田さんは森繁さんが主演するラジオドラマ「重役読本」の脚本を書き続けていた
いつもながら手品だね。
ただね…もう少し早く書いてくれるとありがたいんだが…。
申し訳ありません。
ハッハッハッハッ。
はいじゃあやろうか。
ちょっとペンペン頂戴。
あの…。
余分なアドリブは入れないで。
私の書いたとおりにしゃべって下さい。
ありがとうございます。
(森繁)さっやるよ!お願いします。
そのころのトットちゃんは民放各局をはしごし慌ただしい毎日を送っていた
すみません運転手さん。
あの「私はあなたにもわびなければならない」って言って下さる?「私はあなたにもわびなければならない」。
「いいえ私の方こそすまないと思っています。
あなたの人生を狂わせてしまったのは私ですもの」。
うん。
もう一度ね。
あっそこごめんなさい左。
左で。
向田さんの部屋は各局の真ん中にあってちょうど都合がよかった
2人は毎日会っていた。
毎日のようにではなくて本当に毎日会っていた
あら?これ何かしら?
(向田)「Aもう一日かけてすばらしい原稿にして下さい」。
「Bこんなハリ紙をつくる暇があったら一行でも書けクソババ」。
うおっと!
(ノック)向田さん向田さん!向田さん!向田さん!下はおかしいわよ。
Aですか?Bですか?B!分かりました。
もうすぐですから。
大丈夫?大概の人はあの貼り紙見ると…。
(チャイム)B!Bで。
Bでお願いします!「B!」って叫ぶのよ。
A寄りのB。
お待たせしました。
お願いします。
ありがとうございます。
さてと…じゃ作りましょうか。
ええ作りましょう!
(向田)は〜い。
ああおいしい。
食べてる。
フフフッ。
この前ね上野動物園にねお友達のカバがサトウさんっていうんだけどそのサトウさんがね子どもを産んだから写真を撮りに行ったのね。
回想サトウさ〜ん!そしたらねサトウさんね子ども隠すのよ自分の。
あら。
だから「お母さん子どもはね小さい時が一番かわいいんですよ」って言ってねそしたらね鼻でねツンツンツンって子どもを前に出してねかわいいでしょ!あとね上野動物園にね友達のカワウソさんもいるんですけど。
回想まあこんにちは。
お久しぶり。
カワウソがね私が行くとピュ〜ッて寄ってきてね。
(カワウソの鳴きマネ)
(カワウソの鳴きマネ)1週間分の愚痴を言うのよ。
だからね「もうそんな人生いろいろなんですから大変ねあなたたちもね」って言うとね。
「ありがとう徹子ちゃんありがとう徹子ちゃん」って言ってね本当にかわいいのよ!でも確かカワウソってただ獲物を捕るのが楽しいってだけで魚殺すのよね。
しかも殺したのを並べて楽しむ習性があるんですって。
あら残酷ね。
うん。
この魚おいしいわね。
案外でしょう?飛び魚のでんぶ。
ほらこれ味見して。
あ〜おいしい!もう…。
徹子さんだったら覚えてるかしら?あの〜私どうしても忘れられないお菓子があるの。
昔進駐軍からもらったんだけど…黒くて四角いせっけんみたいな…。
え?どんな味なの?あ〜甘いような甘くないようなニチャッとしてちょっと薄気味が悪いようなでもすてきなような…。
知らないわ。
でも食べてみたい。
味はね正直言っておいしくないの。
あら残念。
でもあれ何だったのかしら?本当に何でか忘れられないのよね。
でもあの時代名前の分からないものいっぱいあったわよね。
いい写真ね。
(向田)うん?向田さんとてもきれい。
ああ…そう?ありがとう。
黒柳君。
黒柳君。
ちょちょ…。
あのすごいの…すごいの見ちゃったんだよ俺。
俺ね向田先生の決定的な瞬間を見てしまったんだよ。
…とおっしゃいますと?え?いやあの〜向田先生に脚本の仕事どうしてもお願いしたくってさあの人食いしん坊じゃない?ようかん持って雨の中ず〜っとアパートの前で待ってたのよ。
そしたら車がパッと止まって「おっ」って思ったら向田先生降りてきたのよ。
回想ありがとう。
どうも。
(伊集院)向田先生歩いたら後ろから傘さした男がさ追いかけていってすごい事言ったの。
あの…本気にしていいのかい?本気にしていいのかい?その男の方が?そう。
向田さんに?これすごい事じゃない?そうね。
でまあ…。
ちょっと声落とした方がいいわ。
興奮しちゃった。
いやすごい事を見ちゃったからさ。
…でそのアパートの前でまだちょっと2人やり合ってるのよ。
やり合ってるとも言わないけどこう言い合っててさ。
向田先生がもうパッと振り切ったのかな?アパートの方入ってったのよ。
その男最後に…。
奥さん本当に本気にしていいのかい?奥さん?奥さんっておっしゃったの?「奥さん本気にしてもいいのかい?」ってアパート追いかけてさ。
あらそう。
あなたそれようかんどうしたの?ようかん…いやそのまま持って帰りましたよ。
食べたの?いや食べちゃうでしょそりゃ。
帰っちゃったからね。
おんなじようかん持ってく訳にはいかないから。
やだわ…そんなとこ見られてたなんて。
決まりが悪いわ。
ごめんあそばせ。
あっあの違うの。
そうじゃなくてねあの…。
違うわ。
全部私がそそっかしいのがいけないの。
あのねすぐに玄関に入れるようにと思って右手に玄関の鍵左手にお金を持っていて運転手さんには左のお金を渡したつもりでいたの。
そしたら右の玄関の鍵を渡しちゃってたの。
本気にしていいのかい?あ…。
ごめんなさい!ああ。
あのお釣りを!
(向田)あのどうぞどうぞ!やだあなた!それ運転手さん勘違いなさるわ!あっそう!それだったの?あっよかった〜。
いい男?そうね。
当時何を話していたのかはほとんど覚えていない。
きっとたわいもないおしゃべりだったのだろう
あの時間は一体何だったのかトットちゃんは今でも不思議に思う
ある日向田さんは突然引っ越しを決意しそれまで書いた原稿を全て捨てた。
テレビドラマは花火のように消えてなくなるからいいらしい

南青山のマンションに引っ越した向田さんは再び書き続けた
「殴りゃいいってもんじゃないんだぜ!分かってんのかよ父さん!」。
「バカヤロー!」。
「女将さ〜ん時間ですよ〜!」。
「お父さん面倒見てる人いるの」。
「女?」。
向田さんは誰もが認める人気脚本家となった。
書いたテレビドラマは1,000本。
ラジオドラマは1万本を超える。
そして初めて書いた短編小説で直木賞を受賞した
え〜向田さんとはね一番古い仲でもうね30年になります。
初めて出会った頃この人処女だったように思います。
(笑い声)まあそこはねつまびらかではございませんが。
まあ暇を見つけては「今晩どう?」と言い寄っておったんですがいやどうもつまらん話になりました。
(拍手)何だかメチャメチャな感じになってまいりましたが…。
メチャメチャなね俳優さんですので。
乾杯の前に向田さんからひと言お願い致します。
向田さんお願い致します。
(拍手)
(向田)今日は10月13日ですが5年前のちょうど今頃私は乳がんの手術で酸素テントの中におりました。
この先の人生明るく生きていく事ができるのか…。
トットちゃんは向田さんと初めて出会った日の事を思い出していた
「そういえば最近朝の散歩の時に聞こえてくるコケコッコーが聞こえないね」。
お願いします。
あっありがとうございます。
でもか…うん?これ禍福?「禍福はあざなえる縄のごとし」。
禍福…。
聞いてこようかしら。
フフッ。
失礼致します。
黒柳です。
あの…。
何か?そうねあの…この禍福。
禍福?禍福。
「禍福はあざなえる縄のごとし」というのはどういう意味でしょうか?人生は幸福の縄と不幸の縄2つがよってあるようなものだ。
つまり幸福の裏には必ず不幸があるっていう事じゃない?そうかな…。
あの…幸福の縄だけでよってあるっていう事はないんですか?ないの。
(向田)この先の人生明るく生きていく事ができるのか人様に笑わせるものを書いて提供ができるのかこの先どれだけ生きられるのかも自信がありませんでした。
でもこのように皆様に後押し頂いて賞も受賞でき今「大丈夫」とご報告できるように思います。
本日はまことにありがとうございました。
(拍手)「禍福はあざなえる縄のごとし」。
最初に向田さんが教えてくれた事。
あれ正しかったみたい。
そうね。
人生悪い事もいい事もあるわよね。
私ね今日ねすっごくうれしかった!・はいはい!はいはいはいはい!・はい新橋飯店です!はい少々お待ち下さい。
ヨシダさん電話。
向田さん!向田さんのファンみたい。
あの席人気なんだって。
王さんいっつも電話取り次いじゃうから。
回想・
(王さん)はいはいはいはい!ねえ食べるって言ってない…。
はいもしもし新橋飯店です!向田さん電話!いないって言って。
(王さん)もういるって言っちゃったよ。
あ〜ごちそうさまでした!
(王さん)もう食べちゃったの?うん。
すごくおいしかった!徹子さんの縄は幸福ばっかりであざなってあるのかもしれない。
え?「禍福はあざなえる縄のごとし」じゃなくて?不幸はなくて幸福ばっかり。
私やっぱり徹子さんがおばあさんになったところ書いてみたいわ。
とっても楽しみなの。
ねえ私どういうおばあさんになるのかしら?どこにもいない日本人離れした面白いおばあさん。
フフフッ!おばあさんになっても大食いなのかしら?間違いなく大食い!このあとラーメンと肉ダンゴとギョーザ来るよ。
本当?大丈夫?大丈夫。
ちょっと多い?みんなおいしそうに食べてたわよ。
・あっもしもし向田さん。
・「向田でございます。
私ただいま旅行に出かけておりまして戻りますのは25日の夜遅くです。
泊まり先を申し上げますのでお急ぎの方はそちらへご連絡下さい。
タイペイの国賓大飯店電話台湾551の1111です。
よろしく」。
(「ピ〜ッ」という音)留守電もしもし向田さん黒柳です。
お久しぶり。
台湾にいるのね。
あのね私も今からニューヨークに行くのよ。
わ〜うれしい。
2人とも旅行だなんて。
あなたがほらいつか言ってた黒いニチャニチャしたお菓子…。
この時向田さんの乗った飛行機は台湾の空に散ったのだった
(泣き声)
(森繁)「花ひらきはな香る…花こぼれなほ薫る」。

あのころ向田さんの部屋は居心地がよくて止まり木にいるみたいだった
ちょうど向田さんは写真家の恋人が亡くなったばかりで心にぽっかり穴が開いていた。
トットちゃんはそれをずっと後になるまで知らなかった。
向田さんにとってもあの部屋は止まり木だったのかもしれない
・「向田でございます。
私ただいま出かけておりましてピ〜ッという信号音が出ましてからお名前とご用件をおっしゃって下さいませ」。
(「ピ〜ッ」という音)向田さん黒柳です。
今朝ねいつも乗ってる電車に乗ったらね網棚の上にねタヌキがいたの。
向田さん黒柳です。
あら大変。
十円9枚あったのにもう無くなっちゃった。
向田さん黒柳です。
向田さん黒柳です。
向田さん黒柳です。
向田さん黒柳です。
向田さん黒柳です。
向田さん!もしもし向田さん黒柳です。
お久しぶり。
台湾にいるのね。
あのね私も今からニューヨークに行くのよ。
わ〜うれしい。
2人とも旅行だなんて。
あなたがほらいつか言ってた黒いニチャニチャしたお菓子あれねあったら買ってきてあげるわね。
お互い旅の話しましょうね。
帰ってきたらね。
じゃあねまたね。
は〜い。

(2人)おばあちゃんあのニチャニチャした黒いお菓子頂戴!はいはい。
(2人)まずい!もっと頂戴!
(子どもたち)頂戴頂戴!ありがとう。
まずい。
ふん。
向田さん私ね面白いおばあさんになる!あ〜渥美清!
来週はトットちゃんの恋のお話。
お相手は?
私生まれも育ちも…。
えっ寅さん!?
あららたまねぎおばあさんが…。
あ〜!
(子どもたち)アハハハハッ!2016/06/09(木) 16:20〜16:50
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ トットてれび(5)[解][字][再]

徹子(満島ひかり)は、脚本家・向田邦子(ミムラ)のアパートに毎日入りびたり、たわいない会話をして過ごした。青春をともに過ごした2人の出会いから別れまでを描く。

詳細情報
番組内容
徹子(満島ひかり)は、脚本家・向田邦子(ミムラ)のアパートに、毎日入りびたっていた。たわいない会話をしながら過ごす時間は、2人にとって大切な時間だった。時は流れ、邦子は初めて書いた小説で直木賞を受賞。徹子は祝賀パーティーで司会を務めた。邦子は「おばあさんになった徹子さんを書いてみたい」と言う。しかし翌年、邦子は飛行機事故に遭遇。青春の一時期をともに過ごした徹子と邦子の出会いから別れまでを描く。
出演者
【出演】満島ひかり,ミムラ,濱田岳,松重豊,岸本加世子,吉田鋼太郎,黒柳徹子,【語り】小泉今日子
原作・脚本
【原作】黒柳徹子,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】大友良英,Sachiko M

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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