トーマス・ジェローム・ニュートン:デヴィッド・ボウイDAVID BOWIE
1947年、イギリス・ブリクストン生まれ。子供のころからアメリカのポップス、ブラック・ミュージック、そしてモダン・ジャズに親しみ、10代半ばで音楽活動を始める。後に『ハンキー・ドリー』(1971年)や『ジギー・スターダスト』(1972年)のアルバム・ジャケットを手掛ける画家のジョージ・アンダーウッドもこのころの仲間である。
1964年、ディヴィー・ジョーンズ・アンド・ザ・キング・ビーズ名義でシングル・デビュー。しかしヒットには恵まれず、66年に「デヴィッド・ボウイ」に改名し、翌年、最初のアルバムをリリースした。その後、短編映画に出演した際に舞踏家・パントマイマー・振付師のリンゼイ・ケンプに出会い、師事を受け、その後の「デヴィッド・ボウイ」の活動の基盤が出来上がる。69年には『2001年宇宙の旅』(1968年)をモチーフにした2ndアルバム『スペイス・オディティ』を発表、世界的なヒットとなる。『世界を売った男』(1970年)『ハンキー・ドリー』と続くアルバムで、盟友ミック・ロンソンとともにグラム・ロック・サウンドを確立し、72年の『ジギー・スターダスト』の大ヒット、そして1年半にも及ぶ長期のツアーによって、時代のアイコンとなる。このツアーでは、山本寛斎の衣装も取り入れられ、ボウイの日本趣味も顕在化していく。
ツアー終了後、ボウイは「ジギー・スターダスト」という人格を封印。アメリカに拠点を移し『ヤング・アメリカンズ』(1975年)を製作し、そして『地球に落ちて来た男』への出演となる。この作品で俳優としてのキャリアをスタートさせたボウイは、その後『ハンガー』(1983年/トニー・スコット監督)、『戦場のメリークリスマス』(1983年/大島渚監督)などの話題作への出演が続く。『ステイション・トゥ・ステイション』(1976年)と『ロウ』(1977年)という2枚のアルバムで、『地球に落ちて来た男』の場面写真をジャケットに使ったのは、そんな俳優としての出発点として、この作品がボウイのキャリアの中でいかに大きな位置を占めているかの表明でもあった。
「ジギー・スターダスト」の後、ボウイは架空のキャラクター「シン・ホワイト・デューク」を名乗ることになる。ナチズムを意識したそのキャラクターと言動は、激しい批判も浴びた。その後『地球に落ちて来た男』の頃から続く薬物依存の治療も兼ねて、ボウイはベルリンへと移住。『ロウ』、『英雄夢語り』(1977年)、『ロジャー』(1979年)という3作を発表し、「ヒーローズ」などの大ヒット曲を生む。
そして再びアメリカへ。アメリカではナイル・ロジャースをプロデューサーに迎えた『レッツ・ダンス』(1983年)を発表。それは、ブラック・ミュージックやソウルのファンなど、これまでのボウイ・ファンだけでない、幅広い人々から受け入られる大ヒットアルバムとなった。89年にはそれまでのソロ活動を封印、あらたに「ティン・マシーン」を結成して2枚のアルバムを発表する。91年のセカンド・アルバム発表後に大規模な世界ツアーを行うが、翌年の武道館でのライヴを最後に、バンド活動を停止。ソロ活動を再開することになる。
93年にはイマン・アブドゥルマジドと再婚、その後はナイル・ロジャースやブライアン・イーノなど、旧友をプロデューサーに迎えてのアルバムを製作、2003年の『リアリティ』までは意欲的にアルバムをリリースし続けた。しかし『リアリティ』後の世界ツアー中に大動脈瘤による胸部の痛みを発症、長期の療養、休養期間に入る。新作は2013年の『ザ・ネクスト・デイ』まで待たねばならなかった。そして2016年1月8日、69歳の誕生日には『ブラック・スター』を発表、斬新なアルバム・ジャケットとともにデヴィッド・ボウイの顕在を示したが、その2日後の1月10日、死去。
ネイサン・ブライス:リップ・トーンRIP TORN
1931年、アメリカ・テキサス州生まれ。アクターズ・スタジオにてリー・ストラスバーグの元で本格的に演技を学び、『ベビイドール』(1956年/エリア・カザン監督)の端役でデビュー。その後、ブロードウェイにてテネシー・ウィリアムズ戯曲『乾いた太陽』で1960年のトニー賞にノミネートされるなど舞台俳優としての評価を得て、自身の劇団なども含めブロードウェイ、オフブロードウェイで活動をする。映画では、『クロスクリーク(未公開)』(1983年/マーティン・リット監督)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、1988年に『ウーピー・ゴールドバーグの ザ・テレフォン(未公開)』にて監督デビューも果たす。近年も『メン・イン・ブラック』(バリー・ソネンフフェルド監督)シリーズでの捜査官役など、ドラマからコメディまで様々な役を演じている。女優のシシー・スペイセクは従姉。
メリー・ルー:キャンディ・クラークCANDY CLARK
1947年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。18歳の時にNYに渡りモデルとして活動していたところジャック・ニコルソンの目に止まり、1972年にジョン・ヒューストン監督の『ゴングなき戦い』で女優デビュー。翌年に出演したジョージ・ルーカス監督の青春映画『アメリカン・グラフィティ』で、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。TVシリーズでの出演も多く、その他の映画作品に『ブルーサンダー』(1983年/ジョン・バダム監督)、『ブロブ/宇宙からの不明物体』(1988年/チャック・ラッセル監督)、『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』(1992年/フラン・ルーベル・クズイ監督)、『ゾディアック』(2007年/デヴィッド・フィンチャー監督)など。『地球に落ちて来た男』の撮影中はニコラス・ローグ監督と恋仲にあり、デヴィッド・ボウイの体調不良の際には帽子で顔を隠して代役を演じている。
オリバー・ファーンズワース:バック・ヘンリーBUCK HENRY
1930年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。母親のルース・テイラーはサイレント映画女優であった。1960年代から俳優、脚本家、監督として活躍し、メル・ブルックスとともにテレビドラマシリーズ『それ行けスマート』の原案及び脚本を担当。またコメディアンとして『サターデイ・ナイト・ライブ』へも出演している。1967年の脚本作品『卒業』(マイク・ニコルズ監督)、1978年にウォーレン・ベイティと共同監督した『天国から来たチャンピオン』でアカデミー賞にノミネートされている。その他の脚本作品に『キャンディ』(1968年/クリスチャン・マルカン監督)、『誘う女』(1995年/ガス・ヴァン・サント監督)、キャラクター原案に『ゲット・スマート』(2008年/ピーター・シーガル監督)など。