2014年10月2日木曜日

日本生まれの新素材、次世代航空エンジンを高効率に

まあ、スゲー話なんだけれども。

日本生まれの新素材を採用、次世代航空機エンジン「LEAP」

Aug 14, 2014

GEアビエーションは、米国インディアナ州に最新鋭の航空機エンジンのための組立工場を建設します。

そのエンジンの名は『LEAP』、「Leading Edge Aviation Propulsion(最先端の航空推進技術)」の頭文字。その名のとおり、革命的なブレイクスルーをもたらす技術が詰め込まれています。

最近、ボーイング787に使用される部品の1/3が日本製だとかいう話を聞いたことがあると思う。色々航空機産業に貢献している日本製品なのだが、繊維系の技術はなかなか凄い。


ただねぇ、モーちょっと分かり易く書いてくれると嬉しいんだけど(汗tumblr_inline_n30frbWmAl1qzgziy

まずはこちら。GEが開発中の次世代エンジンである。ジェットエンジンと言って、航空機のエンジンに使われる。ジャンボジェットの翼の下にぶら下がっているアレなんだが。

 

ウリはなんと言っても、軽量化だ。

「軽量化による相乗効果は3倍をはるかに上回るんですよ。ファンブレードがすべて軽量化されているわけだから、ニッケル合金のタービンディスクも、従来のようにガッシリした作りでなくて良いわけです。遠心力が弱まるのでベアリングや他の部品もスリム化することができる・・・なんだか、物理の基礎みたいなお話ですね」と笑うのはGEアビエーション 製造責任者のマイケル・カウフマンです。

カウフマン氏が指摘している話は、物理学の基礎をやっていてもピンと来ないかもしれないんだけど、動くものの設計をやった経験がある人間なら痛いほどよく分かる話。

まー、カーレースの世界でも、軽量化に勝るチューニングは無い、と言われるくらいだから、何処の世界も一緒なんだろうな。

で、その部品がどの辺りか分かりにくいと思うので、ジェットエンジンの構造図を引っ張ってこよう。

ジェットエンジン

こちら、Wikipediaの原理図なのだが、「ファンブレード」と上の発言で指摘されているのは、タービンディスクに生やされているブレードのことだと思われる。

図で「ホットセクション」と書かれている右側のところにあるやつだね。

ブレード

こんな形のブレードと呼ばれる羽根が何枚もディスクの周りに生えている感じの部品なんだ。

このブレード、通常は金属かセラミックスで形成される部分だが、GEではCMC(セラミックスマトリクス複合材料)を採用しているとのこと。

ああ、映像にもあったな。映像1

この右側の部品がタービンディスクだ。回りに細かいブレードが生えている。

そのひとつは、セラミックマトリックス複合材料(CMC)をはじめとする次世代素材。重さは金属材料の3分の1と軽量でありながら、耐熱温度は金属材料より20%も高く、多くの合金が溶解し始めるほどの高温でも使用することができます。

基本的に、金属で最も融点が高いのがタングステンだ。ただ、タングステンは加工がしにくい上に重いという欠点がある。

阪大辺りは、タービンブレード用合金としてタングステンベースの1400度に耐える合金を開発しているが、軽い方が良いに決まっている。

その点、CMCならば1300度まで耐えられる上に、ニッケル超合金の1/3の重量で作れるという利点がある。

 

軽ければ、色々と部品の小型化が可能だし、ベアリングと言って軸を支持している部品の寿命を長くすることも出来る。

特にエンジン回りに使われる耐熱性のベアリングはセラミックス製なので、過大な力がかかると弱い。重量が軽くなれば非常に大きな恩恵が得られるという訳だ。

タービンブレードは軽ければ嬉しい!と、そういう話だな。


じゃあ、そのタービンブレードの形を作るのはどうしてるの?というと、これがまた難しいのである。

金属で加工するのに何が嬉しいかって、切削加工、研磨加工と、加工方法が色々使えることが嬉しいんだけれど、セラミックスだとそうは行かない。

セラミックスは欠けやすいので、削って作るわけには行かないのである。基本的には焼結といって、材料の粉を焼き固める手法を使う。

……イメージ的には陶器のように粘土を焼いて作る感じである。

でも、焼いて作ってもセラミックスが欠け易いという部分は改善できないんだよね、残念なことに。

じゃあ、どーすりゃいいの?って話になった時に、炭化ケイ素連続繊維のハイニカロン(R)の登場である。

ここに採用しているのが、日本カーボンが開発した炭化ケイ素連続繊維。
耐熱性と耐久性に優れ、かつ軽量な「ハイニカロン」です。軽量な高強度素材として注目される「炭素繊維」と似ているようですが、炭素は高温大気中では燃えてなくなってしまうので、高温環境では使えません。一方、炭化ケイ素は炭素と異なり、高い耐熱性を有します。この特徴を利用してセラミックスを炭化ケイ素繊維で強化することで、高温になる航空機エンジンでの使用が可能になったというわけです。

これ、日本カーボン(株)という日本の企業の製品で、ものはこんな感じのシロモノである。

ハイニカロン

このハイニカロン、なんと1700度まで強度を保つことができるという、ちょっとキワモノ繊維である。んでもって、これを利用してタービンブレードを造るとなるとこんな感じに。

ロケットエンジン部品

どうやって造っているかは聞かないで欲しい。多分、焼結する時に表面に貼り付けてるんじゃ無いかな?


そんなわけで、軽量、高強度、高耐熱性のタービンブレードが出来上がると言うわけ。(ディスクの部分はニッケル合金だと言っているね。部品はあくまでブレードだけのようだ)

この新素材は金属部品製の同サイズのエンジンより何百ポンドも軽量化し、エンジン効率を大幅向上してくれます。「私たちは素材技術開発を進めています。航空機エンジンの軽量化や耐熱性強化、そしてより簡易に冷却することができる素材・・・素材技術によってエンジンや航空機の運転効率が高まり、低コストでの運用が可能になるんですから」

エンジンの部品の軽量化は、エンジンそのものの軽量化に加えて摩擦抵抗を減らすなんかのメリットも出てくる。ついでに高温に耐えられるって事は、温度を高くすることができる、即ち燃焼効率を高めることができるので、結果的に燃料の節約に繋がる。

つまり、高効率エンジンが作れるって事だ。

日本の素材スゲー、って話なんだけど、できれば日本でジェットエンジン作れるように頑張って欲しいよね。


 

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