- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: 文庫
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本書は以前月9ドラマで放送していた『ようこそ、わが家へ』の原作です。
先が気になるテンポの良い展開で通勤電車と仕事の合間の時間を利用して一気読みしちゃいました。
作者である池井戸潤氏は「半沢直樹」や「花咲舞が黙ってない」など高視聴率を記録したドラマの原作者であり元銀行員ということから銀行の内部事情に精通し、ストーリーにうまく絡めることでリアリティを出したことがヒットにつながったのではないでしょうか。
今作でも銀行絡みの話もでてきますが、池井戸潤氏の小説の中ではちょっと異質な感じがしました。
ドラマでは初回冒頭から得体の知れない「名無しさん」に追い回され月9ドラマらしからぬホラーな展開が印象的で原作もドラマ同様に名無しさんとの攻防戦パートと、真瀬部長の不正を暴く出向先のナカノ電子部品のパートと同時進行で進みます。
原作とドラマの違いとしては主人公が倉田太一ではなく息子の健太であること、オリジナルキャラのヒロイン役に沢尻エリカさんが登場する等、相違点がたくさんありますが原作を読んで思ったことはドラマ版の雰囲気そのままだったということ。先に原作を読んでからドラマを見ても違和感なく見れたと思います。
特に倉田太一演じる寺尾聰さんと真瀬部長演じる竹中直人さんは原作のイメージそのままでしたので読みながら余裕で脳内再生できましたw
駅のホームでの割り込み男を注意しただけで逆恨みを受け、以後「名無しさん」にストーカーまがいの執拗な嫌がらせを受ける羽目になってしまい倉田一家を恐怖のどん底に突き落とします。
しかし、犯人の正体が分かれば相手は「名無しさん」ではない呆気ないほどに普通の人間だったということ。
もし自分がこんな得体の知れない強烈な悪意を持った何者かにこんな嫌がらせを受けていたらどう対処するか、警察には相談するだろうけど原作の登場人物のような機転は働かなかったと思いますね。「名無しさん」が仕掛けたゲームに負けていたのかもしれません。
ドラマ版で感じていたことですが、ナカノ電子部品のパートは必要だったのかが疑問に思っていました。ほぼ独立したパートで名無しさんパートと物語が交わることがほぼ無かったため。(半沢直樹ばりに真瀬部長の悪事を暴くシーンは見ていて面白かったですが……)
これは原作を読んで主人公が父の倉田太一だったことでこの疑問は解消されました。
あと小説版で盗聴器が仕掛けられたオルゴール。結局だれが犯人だったのかはっきりせずモヤモヤが残りました。
- 作者: 池井戸潤
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