成人向け漫画を読んでいて、常々思っていたことを述べる。
まず、出会ってすぐに性交へおよんでしてしまう。不自然ではあるが、主題にエロを掲げている以上、与えられたページ内でそのような展開を期待されているわけだから、これは理解の範囲内。
「処女なのにずいぶん敏感じゃないか」
百歩譲って許すとしよう。
しかし、前戯で一度はてる処女。これは見過ごせない。”イク”という言葉は”絶頂に達する”という言葉に置き換えられる。絶頂・・富士山なら標高3,776m地点、エベレストなら標高8,848mの高みに、ハイキングにも行ったこともないOLが瞬時に到達してしまうということだ。高い山に登る際には高山病を防ぐため、事前に気圧に順応する期間を設けるという。いきなり絶頂を目指すのではなく、ある程度の高度まで登りしばらく滞在、体を慣らすのだ。これを繰り返し、徐々に高度を上げていく。漫画の彼女は処女喪失を待つことなく、高山病で命を落とすことになるだろう。それらの手順を踏んでも必ず絶頂に達することができるという保証はない。天候・体調・気分・相性・シチュエーションすべての要素が相互に作用した時にのみ、初めて人は山頂にイクことができるのだ。
処女が潮を吹きました?それは世界最高峰の山に登ったら、ハート型の虹が出てたよと言っているようなものである。南極でシロクマ見たよ。バイカル湖で河童が釣れたよ。海水浴をしていてワカメと思って掴んだら貞子の髪だっ・・
私が言いたいのは、これほどのレアケースであるにも関わらず、まるでnan○coでお買い物をするかのごとく、簡単に利用されているのは如何なものかということだ。
もちろんみんな知っている。転校してきた美少女が親の再婚で義理の妹になることはないし、雨の中倒れている男性を助けたらそれが超絶イケメンで、気がついたら一緒に住むことになるわけもない。そんなことは重々承知だ。
しかしそれは、日常を暮らしている中で「あれ?ちげーなこりゃ」と理解できるものなのだ。電車で見かけるイケメンは他の男子とバカ話で騒いでるし、幼馴染のあの子は他校の彼氏とラブラブ。(まぁ、現実ってこんなもんだよな)となるのである。だからこそ人は、日常を逸脱した漫画の世界に憧れるのだ。
だが、こと性交となると話は逆になる。普通に暮らしていれば他人の性交を見る機会はまずない、食卓で安易に出せる話題でもない。となると自学自習。ネットのエロ動画やアダルトビデオ・成人向け漫画を教科書に学ぶことになる。突飛な内容であっても同じような描写が多ければ、現実・もしくは現実に近いものだと刷り込まれてしまう人もいるのわけだ。ところが現実はアダルトビデオを見て、違和感を感じる女性のほうが多い。
この男女間の誤解を避けるためにはどうしたらよいのか、手軽なのは男性は女性向けニュースサイトを読むことだ。女性特有の性の悩みなどが取り上げられており、現実を理解する上で手助けになること請け合いだ。女性にもお勧めだが、さらに踏み込んで知識を深めたい場合は、ハウツー本はいかがだろう。最近では女性向けのものも書棚に並んでおり、手に取りやすくなっている。
ちなみに女性向けアダルトビデオなるものが出てきたそうで、私もネットでいくつか視聴してみた。・・が女性向けを謳っていながら最後は必ず顔にかける。家でも、オフィスでも最後は顔・・
why?
なんで?いま顔がブームなの??それともそれが普通だった?!わからない。全然わからない。ビデオ屋に置いている物なら違うのかもしれない。さっそく出かけた。しかし、なかなかあの黒いカーテンをめくることができない。うろうろしていると、自動ドアを抜けてまっすぐ歩いてきた男性が、颯爽とカーテンの向こうに消えた。
平成の世に侍をみた瞬間であった。
いつか私もあの侍のようにカーテンをくぐることができたなら、顔の謎を解いてご報告したいと思う。