いろいろな税
結婚しないと課税される!?ブルガリアの「独身税」
とある女性専用のSNS上で、独身や子どもを産まない女性に対して「子無し税」を導入しては?という意見が賛否両論を巻き起こしました。アラサーやアラフォーの独身女性から「これ以上、私の収入を削らないで~!」といった悲痛な声があがるなか、とある婚活中の女性は冷静に「さらに彼氏がいる女性に彼氏税を導入してほしい。私も彼氏できたら払うから」とつぶやいていた……という話も。
それはさておき、独身でいることで税金がかかるなんて世知辛いわ~と思うかもしれませんが、実は世界には「独身税」が課せられていた国があるのです。その国とはヨーグルトでおなじみのブルガリア。今回は独身者に課せられる独身税について調べてみました。
労働力不足により制定された独身税
実際に、ブルガリアで独身税が導入されていたのは1968~1989年。このころ、ブルガリアでは少子化が進んでいて、このままでは将来的に労働力が不足することが懸念されていました。そのため、国は「国民に結婚をして家庭をもってもらおう! そうすれば子どもを産んでくれるはずだ!」と考え、打ち出された政策がコチラの独身税だったのです。
この独身税、実際にどれくらいの負担だったかというと、なんと収入の5~10%を徴収しました。これはなかなか大きな金額ですね。結婚を迷っているカップルであれば、確かに入籍をするかもしれません。
肝心の実際の税収入はどうだったかというと、なんと独身税を導入する前よりも出産率が減少するという予想だにしない結果に……。導入前は2.18%だった出生率が1.86%に下がり、効果があったとは言い難い状況になってしまいました。
なぜ失策に終わったかというと、大きな要因として金銭的に余裕のない層がますます結婚から遠ざかってしまったこと。独身税が高いので、お金をためることができず、お金がなければ結婚できないし、子どももつくれない……と思惑と真逆の悪循環を生むことになってしまったのです。
さらに、高すぎる独身税から逃れるための偽装結婚を助長する可能性も高まり、導入から約21年で廃止となりました。
他人ごとじゃない!日本の少子化問題
ご存じのとおり、日本でも少子化が進んでいます。2011年時点のデータではありますが、女性一人あたりの合計特殊出生率は1.39人です。合計特殊出生率とは女性が生涯で何人の子どもを産むかということ。しかもこの数値は、年々下がり続けているのです。
「少子化=良くないこと」といったイメージがありますが、実際に起こる問題としてはブルガリア同様にまずは労働力不足があげられます。単純に働く人が少なくなるので、経済成長が鈍化することが懸念されています。そして、高齢者の割合が増えることで社会保障制度の負担も増える一方に……。けれど私たちが働くことが難しくなったとき、今と同じような保障が受けられるかというと、その可能性は極めて低いのが現状なのです。
だからといって、積極的に結婚させようと独身税を課したところで、ブルガリアと同じような結果になるだけ。もっと根本的な改革と政策が必要だといえるでしょう。
まとめ
日本も今後ますます少子高齢化が進んでいきます。現時点ではブルガリアの例もあり、独身税が課税される可能性は低い様子。しかし、日本でも少子化に伴ってなんらかの新しい税が導入される日はそう遠くはないかもしれません。
参考: