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時雨のお部屋
白い天井だ。知らない天井。そして壁も白い。俺にはまたまた白い布団が掛けられていた。少し甘い香り………考えちゃ駄目だ。俺の服もまた白かった。ここまで真っ白だと精神が病んでしまいそうになる。
「あ、提督。起こしちゃったかな?」
ぴょんとした髪にお下げの少女が俺を見て話す。
「えーと………何があった?時雨?」
そう。時雨だ。俺達とは違った方法で戦わされた、兵器と呼ばれた少女。いや彼女は戦っていないのだったかな?
「提督がブツブツと呟き出して五分間くらいで倒れちゃったから僕の部屋に運んだんだよ?」
僕の部屋?時雨のベッド?
「じゃあこれは時雨の布団?」
「うん。僕の布団だよ?もしかして女の子の布団って嫌かい?」
「そんなことより………あの………加賀さんは?」
「加賀なら水鳥さんの所で説教受けてるよ」
水鳥さんの説教………あの人恐いんだよなぁ………
「そこに行ってあげないと………」
水鳥さんは俺達のことになると感情的になりすぎるからなぁ………
「駄目だよ?提督。安静にしてないと………」
「提督として………行って自分から話をしないと………」
じゃらりと音がした。俺の手首からだった。
「提督。駄目だよ。今動いたら手首が痛むよ?」
「時雨………提督としてお前に命令する。今すぐ手錠を解け」
多分これは解いてもらえない感じかな?
「あー………いいよ。ちょっと待ってて」
そう言い時雨は慣れた手つきで手錠を外してくれた。…………慣れた手つきで?
「ちょっと待って…………なんで慣れた手つきなんだ?」
聞いてしまった。よかったのか?
「あ、ごめんね、提督。夕立が夜寝相悪いからこうやってベッドに固定しちゃうんだ」
あーなるほど。寝相悪いから固定ね。………寝相が悪いだけで?
「どんだけ寝相悪いんだよ!!」
「例えば………そうだね………毎晩僕の顔を舐め回すくらいかな?」
そうだね。それは固定したくなるわ。………は?
「そんな寝相の奴がいてたまるかぁ!!」
「いるよ?」
「……………いるの?」
時雨はにこやかにうなずく。
「僕としては加賀の事なんてそっちのけにして楽しくお話しがしたかったなぁ」
「そういう訳にもいかないよ。さ?独房はどこ?」
「どうして独房なんだい?」
「あの人は説教するときは絶対に独房でするから」
さあ………速く加賀さんを助けないと…………
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