カルピス、国民的飲料が持つ「秘密中の秘密」
社内でも1%以下しか知らない真実
氷を入れたグラスに注いだキンキンに冷えたカルピスをグイッと飲むのは、日本の夏の風物詩とも言える。そんなカルピスがそもそも何からつくられているかご存じだろうか?
原料は牛乳。カルピスの白さは原料である牛乳本来の色から来ている。この原料に使われる牛乳は新鮮さにこだわり、主に工場の近くにある牧場で搾られた、搾りたての牛乳を使っている。その新鮮な牛乳から脂肪分を遠心分離機で取り除き、残った脱脂乳に乳酸菌と酵母からなる『カルピス菌』を加えて発酵させ、あの味がつくられていく。
カルピスのカラダにうれしいチカラ
この「カルピス菌」こそが、今からおよそ100年前に三島海雲によって見いだされたもの。発売以来、新しい牛乳にずっと同じ菌を継ぎ足しながら品質を保ち、今に伝わっているものだという。鰻屋の秘伝のタレのような製法で造られているのだ。
このカルピスを作る発酵の過程で、カラダにうれしい成分が作られていることもわかってきた。そのひとつが、「ラクトトリペプチド」という成分。カルピスは2度の発酵を経て作られるのだが、この「ラクトトリペプチド」は1回目の発酵の時にできる成分で、血圧を下げる効果があり、血圧が高い人に効果があるという。
さらに、2回目の発酵から生まれた香りを嗅ぐと、自律神経のバランスを整えて、不安な気持ちを和らげたり、生活のリズムを改善できたりする効果も発見されたそうだ。
最近では、このカルピスを作る過程で牛乳から取り除いた脂肪分で作った幻の「カルピスバター」が、美味しいと話題を呼んでいる。一流のフレンチ店や有名パティシエにも愛用されている大人気商品なのだが、カルピス40本分の牛乳から、カルピスバターは、たった1個(450g)しかつくれない。「幻のバタ-」と呼ばれるゆえんだ。
カルピス菌は偶然発見されたもので世界中探しても他では決して手に入らない。つまり、今あるカルピス菌がなくなってしまえば2度とカルピスがつくれなくなってしまうため、社内でも1%以下の人しか知らないトップシークレットとして厳重に保管されているという。およそ100年にわたって愛され続ける国民的飲料が持つ「秘中の秘」であろう。