日本一早い18歳投票へ…滋賀・日野町、
1945年から約70年間「20歳以上」だった選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が、19日に施行される。参院選は22日に公示、7月10日に投開票も滋賀県日野町と福岡県うきは市では、一足早い7月3日に町長選、市長選が実施され、参院選より1週間前に日本で初めて18歳が投票する可能性がある。28日に町長選が告示される日野町の県立日野高校ではこのほど、有権者となる3年生が町選管の出前授業で模擬投票を体験。全国で一番最初に投票する「18歳」が一票を投じる思いを語った。
滋賀県南東部に位置する人口2万1882人(5月1日現在)の日野町。5月下旬に行われた町長選の立候補予定者説明会には、4選を目指す現職の藤沢直広町長(60)の陣営のほか、候補者未定の住民グループの陣営が出席した。現時点で藤沢氏以外に出馬を明言している候補はいないが、全国初の「18歳選挙」の可能性が浮上した今、町はにわかな注目に沸いている。
15日に町内で唯一の高校となる日野高校で行われた模擬投票。1時間に1、2本しかない通学用の電車を増発すべきだと訴える候補者と、教育に予算をつぎ込むべきだと主張する候補者を立て、3年生155人のうち20人が投票。受け付け→投票権の交付→記入と投票所での流れを体験した。取材に応じた吉村祐利さん(18)は「今日の通りやれば本番でもうまくできると思いました」と笑顔を見せた。
法令上、満年齢は誕生日の前日に迎えると規定されており、今回の日野町長選では1998年7月4日、参院選では1998年7月11日までに生まれた人が有権者となる。今月25日が誕生日の溝江綾太さん(17)は「家族が選挙の話をするのを見て『大人やな』と思っていた。自分も大人の仲間入りだと思った」と喜ぶが、西沢匠さん(18)と吉村さんは「とくに何も思わなかった」と声をそろえた。「全国初」にも浮き立つ様子はなく、むしろ有権者となることの意味を計りかねている様子だった。
3人が学ぶ校舎の周りには田園が広がり、時折、虫の鳴き声も聞こえる。3人は「今のまま変わらず、自然が多い日野町でいい」と現在の町政に大きな不満はないと強調。しかし質問が参院選に及ぶと、一気に「実感がわかない」とトーンダウンした。滋賀県選挙区(改選数1)は、現時点で民進党の現職に自民党と幸福実現党の新人が立候補を予定している。溝江さんは「町長選は投票に行くつもり。でも参院選は投票の基準とか言われても全く分からない。投票に行くかどうかも決めていない」とつぶやいた。
西沢さんは「僕もよく分からないけど、国のため、国民のためになる人を選びたい」。吉村さんは「立候補する人の意見を聞いて、自分の意見に合う人を選びたい」と語った。「自分の1票で町の将来が決まると思うと、紙切れ1枚がとても重く感じました」と西沢さん。不安を抱えつつ、日本で最初に「大人の仲間入り」を果たす。