元慰安婦「良かった」…履行求める
【ソウル米村耕一】昨年12月の慰安婦問題に関する日韓政府間合意について、ソウル市在住の元慰安婦の女性(87)が17日、毎日新聞などのインタビューに答え「(合意は)とても良かったと考えている。子孫にまで持ち越さず、私たちの代で解決してくれた」と、賛同する考えを示した。また、日本政府が約10億円を拠出し、韓国政府が設立することになっている財団による支援を歓迎する意向も表明。元慰安婦がメディアに合意を評価したのは初めてだ。
過ち認めたことも感謝
インタビューでこの女性は、慰安婦問題について安倍晋三首相が「おわびと反省の気持ち」を表明したことについて「安倍首相は(おわびの言葉を)言わないと思っていた。ところが、過ちを認めた。そのことだけでも感謝するし、合意によって財団を作るということも表明した」と評価した。
そして「政府同士の合意が無効になれば、韓国政府も日本政府も国民をだますことになる」と述べ、合意を着実に履行するよう求めた。
また、ソウルの日本大使館前の慰安婦を象徴する少女像の移転問題については「韓国政府は自分たちのものではないと言っているし、また私たち(元慰安婦の)おばあさんのものでもない。民間で設立したものだから(ソウル中心部の別の場所である)南山に移したらよい」と明言した。
韓国政府が設立する「和解・癒やし財団」(仮称)に期待する支援としては、住宅を借りるための「保証金」を挙げ「そこで暮らし死のうと思う」と語った。財団関係者にもそう伝えたという。
この女性は、韓国政府に登録された元慰安婦238人のうち、生存する42人の一人。女性によると、16歳だった1944年に現在の北朝鮮北部・恵山(ヘサン)で刀を提げた男性に無理やりに他の女性と共に倉庫に集められた。列車で中国東北部に行かされ、1年ほど慰安所での生活を強いられたという。女性は「私は親に売り渡されたわけでも、金を稼ぎに行ったわけでもなかった」と訴えた。