イチローが日米通算４２５７安打　Ｐ・ローズ超え

　【サンディエゴ穐村賢】日本が誇る「安打製造機」イチローがついにローズを超えた。米大リーグでマーリンズのイチロー外野手（４２）は１５日（日本時間１６日）、当地でのパドレス戦で内野安打、二塁打と２安打を記録。日米通算で４２５７安打とし、ピート・ローズ（元レッズなど）が持つ大リーグ記録４２５６安打を超えた。９回の記録達成時には敵地ファンからも祝福の拍手と歓声が降り注ぎ、塁上のイチローもかぶっていたヘルメットを頭上に掲げて応えた。

　多くのファンがこの日の記録更新を諦めかけた９回２死一塁で、イチローのバットから長い歴史を塗り替える一打が放たれた。パドレス守護神ロドニーの投じた８３マイル（約１３４キロ）のチェンジアップを豪快に引っ張ると、糸を引くようなライナーが右翼線で弾んだ。

　日米通算４２５７安打目。滑り込むことなく二塁に到達したイチローは、スタンドから大きな拍手が送られると、ヘルメットを頭上に掲げて歓声に応えた。

　ただ、周囲が待ち望んだ偉業達成にもイチローは「そんなに大きなことという感じは全くしてない。日米合わせた数字ということで、どうしたってケチがつくことは分かっている。ここに目標を設定してなかった」と淡々と語った。

　日米通算での記録更新。メジャー記録保持者のローズが、イチローの記録を比べることは対等ではないとの認識をしており「ピート・ローズが喜んでくれてれば（気持ちは）全然違う。でもそうじゃないと聞いているので、僕も興味がない。冷めてるところがあったので、変な感じがありました」。盛り上がる周囲との温度差に戸惑いを感じているようでもあった。

　だが、チームメートの存在が「興味がない」という記録を意味のあるものに変えた。記録達成の瞬間には、自軍ベンチ内で大きな拍手が湧き起こり、祝福。敗戦直後にも一人一人とハグを交わした。「去年このチームに来て、１年一緒にやって、最高のチームメートとはっきり言える。本当に感謝してます。彼らには」。穏やかな笑みを浮かべたイチローからは、年下の同僚たちと“至極”の時間を過ごす大切さがにじみ出た。

　今季も打撃フォームを練り上げた。大きな変化は軸となる左足。右足の踏み込みと同時に地面を蹴るようにして力強く前に出た。爆発的な体重移動。打撃練習用シューズの左足親指部分の布地が破れるようになった。昨季にはなかった現象だ。

　メジャー３０００安打という米殿堂入り約束手形にもあと２１安打。日々の積み重ねの先こそに記録は存在する。まずは次の１安打−。４２歳のメジャー最年長野手の挑戦が続く。

＜イチロー（本名鈴木一朗＝すずき・いちろう）＞　１９７３（昭和４８）年１０月２２日生まれ、愛知県豊山町出身の４２歳。１８０センチ、７９キロ、右投げ左打ち。愛工大名電高からドラフト４位で９２年にオリックス入り。９４年に日本初の年間２００安打（２１０本）。同年から７年連続パ首位打者。マリナーズ移籍の２００１年に首位打者、盗塁王、新人王、ア・リーグＭＶＰ。同年から１０年連続２００安打以上。０４年にメジャー新の年間２６２安打。１２年７月にヤンキース移籍。１３年に日米通算４０００安打。マーリンズ２年目の今季はメジャー５００盗塁。０６、０９年ＷＢＣで日本の連覇に貢献。