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2016-06-16

真面目な諷刺、深みのあるキャラクター、なぜかおっさんダンス〜『マネーモンスター』(少しネタバレあり)

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 ジョディ・フォスター監督作『マネーモンスター』を見てきた。

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 舞台生放送金融エンタテイメント番組マネーモンスター』の撮影現場放送中にこの番組ホストであるリー(ジョージ・クルーニー)のアドバイスに従ってアイビス社に投資し、アイビス社のシステムトラブル財産を失ったカイル(ジャック・オコンネル)が銃を持って乱入し、リー人質にして真相解明を要求する。番組プロデューサーのパティ(ジュリア・ロバーツ)はコントロール・ルームに張り付きながら全力で解決をはかる。一方でアイビス社の広報担当であるダイアン(カトリーナバルフ)はアイビス社の対応に疑問を抱き始め…

 あまり期待していなかったのだが、社会派エンタテイメントものとして非常に面白かった。この間『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を見たばかりで、この映画では金融犯罪を犯した人々がアメリカで適切に訴追されていないことが強く批判されていたのだが、『マネーモンスター』はそういうアメリカ金融犯罪に甘い態度を諷刺した作品だ。一方で暴力的手段解決をはかったカイルをはやしたてる人たちに対しても皮肉視線が向けられており、一筋縄はいかない社会批判に満ちた映画になっている。

 出てくるキャラクターも皆複雑で一面的ではない人間として描かれている。うさんくさくてチャラい男だが冷酷というわけではなく、ガールフレンド生放送で手ひどくふられたカイルを気の毒に思って尽力しはじめるリーも、あまり賢明はいえないが非常に可哀想な人であるカイルも、この2人に付き合う撮影係のレニーも薄っぺら人間ではない。女性キャラクターの深みのある描き方はこの手の男性キャラのやりとりで進むタイプの映画としては珍しいくらいちゃんとしており、パティ欠点が無いわけではないが極めて有能で人間味もあり、適切な判断力リーの救出とアイビス問題の解明に尽力する女性として描かれている。最初アイビス社の方針に従っていたがだんだん自分良心に従って調査をはじめ、アイビストップであるウォルトへの愛情を断ち切って真相解明に奔走するダイアンもいい役だ。カイルガールフレンドであるモリーが呼ばれてブチ切れるところもお涙頂戴にならなくてよかった。アシスタントであるブリーなんかも小さい役だが、ちゃんと仕事をしている。ベクデルテストパスする。

 なお、見所のひとつジョージ・クルーニー番組のオープニングで披露するバカみたいなダンスである。これはなかなかのおっさんダンスだ。

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