6月のワタリガニ漁のシーズンを迎え、西海(黄海)の北方限界線(NLL)付近で北朝鮮の漁船および取締艇の活動が大幅に増えている。これに伴い韓国海軍は、海上機動訓練に突入するなど、対応策の整備に乗り出した。
韓国軍の関係者は16日、「最近、西海NLLの近海では北朝鮮の漁船およそ200隻が操業中だが、これは昨年に比べ約1.7倍も多い。北朝鮮の漁船が増えたことで、北朝鮮の取締艇も一層活発に動いている」と語った。北朝鮮漁船の操業増加は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「食糧の増産には水産物が重要」だとして、漁獲量を増やすよう督励したからだと解釈されている。また現在、NLL付近には北朝鮮の漁船だけでなく、違法操業を行う中国漁船もおよそ200隻いる。韓国海軍は、第2艦隊の主管で16日から18日にかけて「NLL死守訓練」を行う。イージス駆逐艦「栗谷李珥」(排水量7600トン級)はじめ海軍・海警の艦艇およそ20隻と、「コブラ」攻撃ヘリ、KF16戦闘機、P3C海上哨戒機、「リンクス」海上作戦ヘリなど、陸海空軍の航空機およそ10機を動員する。
韓国海軍の強力な訓練は、このところ北朝鮮がNLL付近で戦力を補強し続けていることとも関連がある。北朝鮮は、NLLから北におよそ60キロ離れている古岩浦に、約70隻のエアクッション艇を収容する基地を建設したといわれている。また、延坪島から北東に12キロ離れている無人島の「アリ島」には高さ20メートルの鉄塔を立て、高性能の映像監視装置を設置したという。