2016/6/17 18:30

エミールはペットのように愛でる対象です――アニメ『ハンドレッド』リレーインタビュー【大久保瑠美さん編】

 激しいバトルやアクション、衝撃的なストーリー、そしてヒロインたちとのあんな展開やこんな展開の数々……。様々な要素で織りなされるアニメ『ハンドレッド』が現在、絶賛放送中です。新キャラクターが登場し、物語が加速する中、これからの展開に期待が高まっています。

 そんな本作の後半戦の魅力をさらに探るべく、アニメイトタイムズではメインキャストを演じる声優陣へインタビューを行いました。対象者は長谷川芳明さん(如月ハヤト 役)、大久保瑠美さん(エミール・クロスフォード 役)、吉岡茉祐さん(霧島サクラ 役)、奥野香耶さん(如月カレン 役)、M・A・Oさん(クレア・ハーヴェイ 役)の5名です。本稿では如月ハヤトのパートナー、エミール・クロスフォードを演じた大久保瑠美さんに行ったインタビューの模様をお届け。大久保さんのエミールに対する愛がたっぷりと詰まったお話を最後までお楽しみください。

 
■ スネちゃうエミールが可愛い!

──まずは『ハンドレッド』の印象についてお聞かせください。

エミール・クロスフォード役・大久保瑠美さん(以下、大久保):ギャグあり、バトルあり、ラブありで、いろんな要素が満載の作品ですが、流れもすごくしっかりしていて、カッコいい作品という印象でした。私が想像していたよりもアクション寄りの作品になっていたかなって思います。アクションものはすごく好きなので、演じていても爽快でしたし、エミールはキャラクターの中でも強い設定なので、戦闘シーンは楽しくお芝居することが出来ました。

──エミール・クロスフォードの魅力はどんなところだと思いますか?

大久保:ワガママかわいいところでしょうか。先日も全く別の作品のスタッフさんに、「エミールが可愛すぎてどうしたらいいかわからないんですよ」と言われて「おぉ!」って喜んでいました(笑)。

ワガママだったり、ハヤトのことが好きすぎて周りが見えてない瞬間があるんですが、私はそれを「女の子であることを隠さなくてはいけないのに大丈夫かな」とやや親目線で見ていましたね。ですが、意外や意外、そこがなんか可愛い。

やっぱりハヤトに感情移入している人から観ると、こんな盲目に一直線に自分を好き好き言ってくれる人は本当に可愛いと思います。結構小柄なのでペットのような感覚というか、可愛い、愛でる対象という感じが強いですかね。ほっぺが赤くなるシーンはみんな可愛いんですけど、エミールはとくに肌が白くて映えるので可愛いなって思ってます。

──エミールを演じて、楽しかったところはどこでしょう?

大久保:スネちゃうシーンは好きでしたね。ハヤトが好きで「ハヤトハヤト~」って言っているシーンも楽しいんですけど、ハヤトが他の女の子とイチャイチャしていて、「なんでその子といるんだよー」ってみたいな、スネるシーンは個人的にやってて楽しかったです。もっとスネてもいいのよって(笑)。

エミールはハヤトに気付かれてないというより、流されてるのかなって思います。女性陣の間では、ハヤトが不評なときがありますよ(笑)。作品の宿命なんですけど、ヒロインみんながハヤトを好きで、だからハヤトもはっきりとはね、まだ言えないですよね。多分、私の予想では本命はエミールなんですけど……。

ハヤトの立場からすれば、入ったばかりの学校で、妹の病気のこともあるし、目まぐるしい中、たくさんの女の子に迫られて、急に恋愛モードに入れって言われても無理があるのかなって。だからハヤトは別に悪くないかも……。今話していて思いました! そう考えたらハヤトかわいそうかもしれないです(笑)。

でも、エミールを演じている身としてはエミールに感情移入してしまうので、「私を選んでよ!」って思います。「これだけ好きって言ってるのになんで気付いてくれないの?」みたいな。他のヒロインのキャストさんも「私を選んでよ」って気持ちはあるみたいですけどね。「なかなか気付いてくれないよねハヤト君は」ってヒロインメンバーで結構話してますよ。何にも悪いことしてないのに長谷川さんの肩身がただただ狭くなっていってかわいそうです(笑)。

──楽しそうな現場で(笑)。アフレコ中の様子はいかがでしたか?

大久保:私、顔にまったく出ないんですけど、ものすごいあがり症なんですね。今回、エミールは今までに演じてこなかったようなキャラクターだったので、どう演じたらいいのかずっと考えていて緊張していました。

でも、みなさん言われてると思うんですけど、長谷川さんも初めての主役ということで緊張されていたと思うんです。私はこの作品でいう長谷川さんのパートナーになるので、長谷川さんが緊張してるなら、私も一緒に緊張していてはいけないと思ったし、長谷川さんがやりやすいようにフォローするのも、ヒロインの役目かなとも思って。勝手に私が思ってるだけなんですけどね。

今回の作品に限らず、自分がメインで参加している作品は、なるべく「この現場楽しかったね」って言って終われるようにしたいなって気持ちが強いので、いろいろお話したりしています。ムードメーカーの羽多野渉さんや大坪由佳ちゃんもいたので、現場の空気は明るかったかなと。

私も長谷川さんから学ばせていただくことも多かったですし、今回は私と同じ事務所の後輩の子もすごく多かったんです。今までは私も後輩のポジションで、先輩たちに可愛がられて甘やかされて、「わーい」ってなっていたんですけど、今回は自分も先輩なんだぞっていう気持ちもありました。

 
■ 男の子の演技と女の子の演技、そのさじ加減を意識して

──エミールを演じていて意識した点はありますか?

大久保:ハヤトの前だけは基本的に女ということを隠さないようにしていました。正体自体もそうなんですけど、ハヤトへの対応などは特に。ハヤトはエミールを男の子だと思っているので、基本的には男性の演技を意識してるんですけど、ハヤトと2人っきりの時はもう100%女子でした。私の見解ではエミールは「ハヤトにはバレてもいい」って思っているんじゃないかなと。だからあんなにグイグイいくし、ハヤトには気付いて欲しくて、あえてそうしてるのかなってところもあったので。

「ここはもうぜんぜん男を意識しなくていいよ」っていうディレクションも一番早くて2話目Bパートの頭でありました。朝起きて元気がないハヤトに栄養剤を渡すシーンがあるんですよ。「戦闘するとエナジーいっぱい使っちゃうんだって」っていうセリフがあったんですけど、そこは完全に女の子でした。「朝日を浴びて、可愛い横顔をハヤトが見ておもわずドキッとしちゃうようなシーンだから」っていう感じのディレクションで。私はハヤトをガンガン惚れさせるつもりでやってました。逆に長谷川さんは、「惚れないで」って言われてましたね。

一応、男と思っているから、可愛いってドキッとしても惚れちゃダメっていうそのバランスが楽しかったですね。私はもう「私を好きになって」っていうのを隠さないんですけど、「嫌じゃないんだけど、惹かれてるんだけど、でも男だし」っていう境界線で惚れないように頑張っているハヤトみたいな。それはちょっと楽しかったかなって。バレるまでは(笑)。

──前半部分でオススメのシーンはありますか?


大久保:どのシーンもすごく楽しくて好きなんですけど、一番好きなのはお風呂のシーンかな。背中合わせっていうのが、ちょっと恥じらっていて可愛いですよね。今の2人には、誰もいない状況で2人っきりで話せる空間が実はそんなになかったからこそ、あんなシーンになったんじゃないかなって予想しています。

そこでの2人の会話がすごく良かったなと思います。ハヤトに「遊びにいこう」ってデートに誘ったけど、お仕事があるからって断られちゃって。「あぁ、仕事だからしょうがないか、頑張ってね」って言うところも健気ですよね。

その夜に、「明日の午前中あいたから、どこか行く?」ってハヤトの方から言ってもらえて、「思ってるよりもハヤトは、私を見ているのかもしれない。エミリアとしての私をすごくもしかしたら気にかけてくれてるのかもしれない!」と初めて自覚をしたシーンでした。

エミールはどうか分からないんですけど、それは中の人である私自身が、「ハヤトは優柔不断のように見えて、ちゃんとエミールが好きなのかも」って、思えるような個人的にすごく嬉しいシーンではありましたね。

──なるほど。大久保さんは自分のキャラクターに感情移入しちゃうタイプですか?

大久保:どうなんですかね。自分自身を投影することはあまりないんですけど、作品の中で自分が演じてるキャラクターって、やっぱり一番好きになるキャラクターだと思います。ある意味感情移入なのかな。

原作を読んでる人もそうだと思うんですけど、男の人だったら、多分ハヤトに感情移入すると思うんですよ。私は女の子なので、自分が一番好きなヒロインが気になるんですよね。でも実は、エミールってオーディションを受けたときに一番わからないなって思ってたキャラクターなんです。エミールを演じることが決まったときもマネージャーと話し合って「ああでもない、こうでもない」って検討を重ねていました。エミールのことを考える時間はすごく長かったなって思います。

そのあとすぐドラマCDだったんですよ。そのときは男である必要がなかったので、一旦男であることは忘れて、ただハヤトが好きな女の子として演じましたが、アニメのアフレコでは、すごく悩みました。

だから、オンエア始まってから私のことを応援してくださるみなさんがエミール好きだって言ってくれるのが、すごく嬉しくて。あまりお聞かせしたことがなかった男の子っぽいお芝居を気に入ってくれる方が多くて、自分がいろいろ悩んで考えて、見ている人達に喜んでもらえるっていうのが一番嬉しいことだと思いますね。可愛いですよね。難産だけど可愛い(笑)。手のかかる子ほど可愛いっていうのに近いと思います。

 
■ 大久保さんはリディがお気に入り?

──エミール以外で、気になる登場人物は誰ですか?

大久保:個人的に好きなのはリディですね。生徒会チームはみんな好きです。エリカは、やや恋愛感情的な憧れでクレアが好きなんじゃないかなって思っています。リディは恐らく本気で憧れのみで下心がない献身の仕方をするんですよね。水着回で「オイル塗ってさしあげます」みたいなくだりも、エリカは頬を染めて「私が塗ります」という感じでしたが、リディは主に仕える騎士みたいな感じで「いや私が塗ろう」みたいなあの真面目さが見ていて可愛いなって思いました。

個人的に褐色ってセクシーで可愛いなって思います。どきどきしちゃいますね。ポニーテールっていうのもいいですし。オープニングに変身シーンがあるんですけど、身体の曲線がダイナマイトボディすぎて、やばいぞこれはって思いながら毎回オープニング見てますね(笑)。

──後半戦の見どころはどこでしょうか?

大久保:後半戦は、どちらかというとバトルの方が中心になってきて、リトルガーデンのリザという存在が明らかになったことと、ジュタルとビタリーの関係だったり、学園祭の話がメインになっていきます。学園祭っていう学生が一番楽しむイベントの中に敵がやってきて一体どうなっていくのか注目です。

あとクロヴァンたち三人組が根っからの悪い人じゃないけど、そういう悪いことをしている本心はどこにあるんだろうとか、クロヴァンが素直で可愛いところがあるなと思うので、この3人にも注目して欲しいですね。あと最終回で「ワオ!」となるシーンがるので、そこは「へ~そこいくんだ~」って思いながら、にやにやしてもらえたら嬉しいですね。

──『ハンドレッド』はどんな人に見てもらいたい作品ですか?

大久保:アニメを見て面白いと思ったら、ライトノベルが好きな方はぜひ原作を買ってもらいたいですね。そういう入り口になったら嬉しいなと。箕崎先生の書かれる『ハンドレット』は私も好きですし、巻を経るごとにどんどん面白くなっていくんですよ。アニメが原作の素晴らしさをお伝えできる手段の一つになれば嬉しいですし、そこから『ハンドレット』がもっと盛り上がっていったら嬉しいかなって思います。

あとは単純に、ヒロインを可愛いと思えたら、それはもう十分見る価値があると思います。どのヒロインもちゃんと見せ場がありますよ。

 
■ 演劇に取り組んだ学生時代の思い出

──本作は「学園バトルアクション」ですが、学生時代にもっとも「バトルしたなぁ」と記憶に残っていることはありますか?

大久保:成績は良ければ良いに越したことはないという考えだったので勉強はすごくしてました。でも専門学校の時が一番戦っていたかもしれません。将来の夢を声優にしようと考え始めて専門学校に通って、自分が何をしたいのか模索した時期がありました。

そのときに演劇サークルに入ったんです。当時、すごいなって思う先輩方がたくさんいて、半年ほど一緒に演劇をやらせていただいて、その後、部長に任命されたんです。その後は、部のメンバーをまとめ、後輩をまとめ、先生と演出家の方とやりとり……などなど、本当にめまぐるしく、その中で事務所のオーディションを受けて、っていうかなり充実した2年間を送っていました。戦っていたというよりは、ものすごく自分のために動いた2年間だったと思います。

良い言い方をすると真面目だけど、面白みがないんです、私。だからこの仕事を始めてから自分の面白みを探していて。声を聞いてる人や、私を見ている人がどうしたら面白いと思ってくれるのかなと考えるのが好きですね。

──努力家なのも頷けます。『ハンドレッド』にちなんでうかがいますが、そんな大久保さんが今までの人生で100回以上行ったことは何かありますか?

大久保:自分でマッサージは100回以上やってるのかな。自分の疲れをマッサージ屋さんでとってもらうのは好きなんですけど、どうしても忙しい時は行けないので、むくんでいるとか自分で解消しなければならないなと思って。自分で独自に調べてマッサージしたりしています。あとメイクさんに教えてもらったことを試してみたり。


──なるほど。では最後に、後半戦を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

大久保:作品も終盤になってまいりまして、無事、水着回も終え、あとは最終決戦を残すのみとなりました。作品的には謎もまだいっぱい残っていますし、とりあえず一段落という意味でのラストバトルに向かっていきますので、みなさんぜひぜひ自分の大好きなヒロインが、いったいどのような結末を迎えるのか楽しみにしながら、ハヤトに感情移入しつつ楽しんでもらえればなって思います。

 
■『ハンドレッド』作品情報

【放送概要】
テレビ東京 4月4日スタート 毎週月曜深夜2:05~
BSジャパン 4月9日スタート 毎週土曜深夜0:00~
AT-X 4月5日スタート 毎週火曜夜11:30~
リピート放送 毎週木曜午後3:30~/毎週日曜深夜1:30~/毎週月曜朝7:30~
※放送日時は変更になる場合があります。

【スタッフ】
原作:箕崎准(GA文庫/SBクリエイティブ刊)
キャラクター原案:大熊猫介(ニトロプラス)
監督:小林智樹
シリーズ構成:白根秀樹
キャラクターデザイン:田中紀衣
音楽:鳴瀬シュウヘイ
音楽制作:DIVEⅡentertainment
アニメーション制作:プロダクションアイムズ

オープニングテーマ:「BLOODRED 」 D-selections
エンディングテーマ :「EYES ON ME」 エミリア(大久保瑠美)&サクラ(吉岡茉祐)

【キャスト】
如月ハヤト:長谷川芳明 
エミール・クロスフォード:大久保瑠美 
霧島サクラ:吉岡茉祐   
如月カレン:奥野香耶
クレア・ハーヴェイ:M・A・O 
フリッツ・グランツ:羽多野渉
レイティア・サンテミリオン:大坪由佳
リディ・スタインバーグ:衣川里佳 
エリカ・キャンドル:牧野由依  
シャーロット・ディマンディウス:堀江由衣 
スフレ・クリアレール:佐藤利奈 
メイメイ:今村彩夏

【イントロダクション】
 《ハンドレッド》―それは地球を襲う謎の生命体《サベージ》に対抗できる唯一の武器。《武芸者(スレイヤー)》を目指すため、海上学園都市艦《リトルガーデン》に入学を果たす。だが―なぜか自分のことをよく知るルームメイト、エミール・クロスフォードに、どこか懐かしい違和感を覚えるハヤト。さらに入学早々、学園最強の武芸者《女王》クレア・ハーヴェイから決闘を申し込まれてしまい……!? 箕崎准×大熊猫介(ニトロプラス)がタッグを組んだ、《究極》の学園バトルアクション、ここに開幕!

>>テレビアニメ「ハンドレッド」公式サイト
>>テレビアニメ「ハンドレッド」公式Twitter(@hundred_PR)
ハッシュタグ:#ハンドレッド

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