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着任
俺は船に乗っていた。
「似合ってんな。その服」
俺に声を掛けたのは恩人。水鳥指令。
「水鳥指令が用意して下さったんですよ。そりゃあ似合って当然です」
白い軍服だ。あの頃と違って爽やかな風貌だ。
「まあそりゃオレが選んだんだ。似合わないわけがねぇ………あとその……あれだ。もう戦争は終わった。指令なんてやめてくれ」
そう。戦争は終わったのだ。敵も味方も皆死んでしまった。
「そうですね。俺のせいで………」
「何言ってんだ。オメエがいたからオレもあいつも生きていられるんだろうが」
そう言ってくれると助かる。俺のせいでこの国は負けた。そう。俺のせいで………
「もうつくぞ。シャキッとしろお前は今日から提督だ!」
あぁそうだ。今日から俺は………
「提督だ。俺が………提督なんだ」
水鳥さんは、この島で余生を送るらしい。そしてその島の海域の秩序を守る提督に俺を指名した。ありがたい話だ。あのままでは外国に飛ばされるか殺されていただろう。
「あ……その服装!!君がここに新しく配属された提督なのかい?」
「陸軍。神薙です。その制服………あなたが艦娘という方ですか?」
「うん。僕は時雨。僕に興味があるならなんでも聞いてよ?」
艦娘………戦争の副産物。俺達とはまた違って戦艦の魂を持った少女。
「今幸せ?」
何故こんなこと聞いてしまったのだろう。俺達よりひどい扱いを受けていたらしい。自分よりも小さな女の子に………
「もしそれが戦争をしてって意味なら僕には無意味な質問さ」
「ごめんね。こんなこと聞いて」
「ああ。違うんだ。神薙提督?だったかな?」
「陸軍少尉」
「え?でも今は提督……だよね?」
「悪いね。たまに忘れるんだ」
「そっか。あ……無意味って言ったのは、僕は戦争を経験してないよ?」
「最後の日の艦娘なのか?」
「うん。そう。だから僕は今幸せだって言えるよ」
じゃあ俺達のことも知らないんだ。あの娘のことも。
「じゃあ………執務室に行こうか?案内するよ?提督」
「うん。ありがとう。時雨」
ここから新しい人間としての生活を始めることが出来ると思うとうれしく感じた。
ずっと書いてみたかった内容で……時雨かわいい…
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