今日、ちょっと胸がスカッとすることがありました。

それはマネックス証券が「NYで取引されるLINEのADRを、上場初日から取り扱う」と決定したことです。

そう聞いても、皆さんは「?」と首をかしげることと思います。

説明します。

ニューヨークに米国預託証券(ADR)を上場している日本企業は、たくさんあります。しかし個人投資家の場合、それを買う事は難しかったです。

これはどうしてか? というと、日本の証券会社の間では業者間の示し合せだか、昔の大蔵省からの「あ、うん」の呼吸による指導だか、何だかわからないけど、「日本人が日本株を買うときは、東京マーケットで買えばいい。NYへの注文は、相場操縦などにつながるといけないから、受けない」という、しきたりのようなものがあったのです。

このルールのおかしい点は、アメリカの投資家には当然、このようなルールがあてはまらないという点にあります。さらに言えば、日本国内の投資家でも、それがヘッジファンドなど、直接、アメリカの証券会社に取引口座を開設する能力がある機関投資家であれば、このルールは「尻抜け」になってしまうということです。

つまり日本の小口の個人投資家だけが公平な競争条件(Level playing field)をはく奪されていたというわけ。

さて、今回のLINEのIPOでは、上記のようなギョーカイの示し合せが、明らかに時代遅れであり、さらに円滑な株価形成の妨げになると予想される展開になりました。

それというのもLINEの主幹事、モルガン・スタンレーが、今回発行する新株の6割近くを、日本ではなく、アメリカでハメコミすると決めたからです。しかも上場初日のトレードは、東京が先ではなく、NYからトレードが開始されます。

すると最悪の場合、珍妙な現象が、おこりかねないのです。

なぜならNYには制限値幅と言うものが無く、東京には「買い気配」あるいは「売り気配」のままで商いが成立しない日があってもオッケーとしているからです。

仮に7月14日にNYで取引が始まったLINEが、不人気で、不当に割安な価格でNY上場初日取引を終えた場合、東京マーケットの投資家は(これはミスプライシングだ! それ行け!)と成り行き買い注文を入れるでしょう。

しかし東京マーケットでは売り物の株数と買い物の株数が折り合わないと商いが成立しないので、アフターマーケットで注文を入れた人たちが誰も約定できないうちに、次の日またNYでのトレードが再開されるという馬鹿げた展開になる可能性もあるわけです。

今回、マネックス証券がLINEのADRの注文を、上場初日からNYへつなぐと決定したことは、日本の個人投資家でも、確実に初日からLINE株を買うことができるようになったことを意味するというわけです。

仕込値段は少しでも安い方が有利だし、トレードはサクサクできる方が良い……つまりリテラシーの高い投資家なら、当然、NYに発注すべきです。

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