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メンバー紹介です
戦車道。それは、戦車を用いて行なわれている武道のことである。現在ではマイナーな武芸とされているが、かつては華道・茶道と並び称されるほどの伝統的な文化であり、世界中で女子の嗜みとして受け継がれてきた。礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸とされる。
どこまでも広がる青天は春の匂いを窺わせ、周囲の木々は青葉が成長し青々と生い茂っていた。時間があればこの木々の下でお弁当を食べるのもよいかもしれない。そう思わせるような日だった。しかし、その思惑を一瞬で砕かせるものが視界に入った。
「咲、こんなところにいたのね。あんたがいないとはじまんないんだから早くしてよ」
「・・・・はいはい。恵美はいつもうるさいんだから、ちょっとくらい夢見させてほしいわ」
轟音とともに、目の前に留まった大きな鉄の塊。Pz.Kpfw.IV。通称IV号戦車D型だった。一呼吸吐いて、戦車の足である履帯の横にある梯子から上へと登る。恵美が私の方へ指で、「急げ」と告げて中へと入った。私もそれに続いて上の扉から中へと入ると、戦車独特の鉄臭さが鼻腔を刺激する。もう幾度となく嗅いだ匂いだが、これにはなかなか慣れることができない。ため息を吐きながら扉を閉めた。
「あんなところで何をしていたんですか?咲さん」
足元の方から声を掛けてきたのは、東西南北 桃子。この戦車を運転する操縦士である。背が低く黒いショートヘア―が特徴的。性格はおおらかで、仕事に関しては忠実に動いてくれる仕事人だ。周りからは桃ちゃんと呼ばれている。
「どうせまた日向ぼっこでもしてたのでしょう。来島さんの悪い癖だ」
桃ちゃんの隣から会話に参加したのが、他の隊と通信する役目の通信手。名波 忍。少し背が高く、茶髪のショートヘア―が特徴。性格はボーイッシュな感じで、中性的な顔をしており、女子高である我が校でも人気が高い。本人にその気はないのだがそれでも真摯に対応するところが人気の秘訣なのだろう。ここでは、ななみんと呼ばれている。
「その通りよ。佐々木が見つけてくれなかったらと思うとぞっとするわ。反省しなさい!」
私の右足をガンガン叩くこの女は、佐々坂 恵美。戦車の弾を入れる装填手だ。肩良い少し下まで伸びるパーマのかかった黒髪と、赤いフレームの眼鏡が特徴。性格は大雑把で頭より先に体が動くタイプ。一応私の幼馴染である。昔から何かと同じになる機会が多く、腐れ縁に近いものがある。周りからは恵美と呼ばれている。
「恵美さんも落ち着いてください。見つかったから良いではないですか」
恵美をなだめるように声を掛けたのは、戦車の弾を撃つ係の砲手。泉屋 桜。小柄で腰まで伸びる黒く長いストレートヘア―が特徴。性格は臆病で、どことなく小動物みたいな雰囲気を醸し出している。しかしその雰囲気が場を和ませてくれるある意味ムードメーカーだ。周りからは桜と呼ばれている。
「もういいでしょ。せっかく良いところだったのを恵美が邪魔したことには変わりないんだから」
「あんたが悪いんでしょうが!」
最後に私、来島 咲。一応この隊のリーダーであり、
「このまま目標地点に向かうわよ。パンツァー・フォー」
この戦車を動かす車長を務めています。
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