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元Google名誉会長が読み解く、IoT時代の「電力システム改革」

元Google名誉会長が読み解く、IoT時代の「電力システム改革」

国内・海外に向けたe-ラーニングによる教育サービスの提供を展開する、株式会社エナリス・村上憲郎氏のインタビュー。村上氏は、米国Googleの副社長、グーグル日本法人の社長退任後にエナリスに参画した理由を語りました。※このログは(アマテラスの起業家対談)を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

シリーズ
アマテラス起業家対談 > エナリス村上憲郎氏
2015年8月7日のログ
スピーカー
株式会社エナリス 代表取締役社長 村上憲郎 氏
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元Google名誉会長がエナリスに参画した理由

th_image ──村上さんがエナリスに参画した背景を教えていただけますか? 村上憲郎氏(以下、村上) 昔、日立電子に勤めていました。そこでは、福島第二と中部電力の浜岡の2つの原子力発電所の建設時の振動試験を一部担当していました。 当時は、オイルショックの直後で、日本はエネルギー資源小国であるなかで、今後は原子力に頼るほかないという時代でしたので、月に200時間残業も経験しながら、なんの疑いもなく勤めました。 そういう経験もあり、原子力に対する複雑な思いもあるなかで、今回、自分の人生の最後の仕事になるかもしれないタイミングで、また改めてエネルギーの仕事をさせていただくというのは、なんとも言い難い、運命の巡り合わせのような感覚を抱いております。

Google会長 エリック・シュミットから託された仕事

エナリスに参画する以前のGoogle時代のことです。2008年8月に少しばかり身体を壊して入院をし、9月には退院したのですが、免疫系のこの病気は完治しないということがわかったので、Google日本法人の次期社長候補として入社していただいていた方に代行をお願いして、3ヶ月ほど自宅療養し、年度末である12月31日付けをもってGoogleのアメリカの副社長と日本の社長を退任いたしました。 2009年に入って、お医者様に「免疫も戻ってきたので、社会と接点持ってもいいですよ」という言葉をいただき、仕事をしていいことになりました。 それを聞きつけた、当時GoogleのCEOだったエリック・シュミットから、「ノリオ、名誉会長というポジションで、日本でスマートグリッドの普及をやってくれないか」との言葉から、私の仕事復帰は始まりました。 この、スマートグリッドというのは、実はちょうど2009年初頭に誕生したオバマ政権が打ち出した「グリーン・ニューディール」という施策のなかの、ITにかかわる3本柱の1つに入っていました。 ITというのは弱電とも言われ、それに対して電力系のことは強電と言います。スマートグリッドは重電力などの強電であると認識していました。しかし、ITの中に分類されていたという驚きが当時にはありました。 今考えるとITに分類されていた理由はIoT、いわゆるInternet of Thingsということであったことがわかります。 つまり、スマートグリッドは、簡単に言うと電気機器がインターネットにつながる端緒となるものなのですが、それをきっかけとして、モノがインターネットにつながってくるという時代を切り開くことが、すでに6年前にして、アメリカは国家戦略としてわかっていたということだと思います。Googleはスマートグリッドが日本においても、普及して行くことを望んだのですね。

日本におけるスマートグリッドの普及

元来、私は通産省時代の「第五世代コンピュータプロジェクト」以来、なにかと経産省のお手伝いをさせていただく立場で仕事をしてきました。 なので、「スマートグリッドの普及を行いたい」とご挨拶にうかがうと、経産省は非常に優秀な人が揃っているので、「では、日本も遅れをとらないようにスマートグリッドに取り組みましょう」とご理解いただき、私の日本でのスマートグリッド普及というミッションが動き出しました。 それから1年ほど後にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が事務局、スポンサーは経産省というかたちでスマートコミュニティ・アライアンスが発足しました。 いろんな日本の産業界の方たちが入られて、スマートグリッド、そして今回の電力システム改革につながるような動きが、そのあたりから本格的に始まるわけです。 そうして、2年経った2011年の3月11日に不幸にして東北大震災と、それに起因して福島の原発事故が起こり、計画停電等を経験するなかから、犠牲になられた方々には大変申し訳ないですが、そのことがスマートグリッドの必要性と日本の電力システム改革の必要性の認識の背中を押すというかたちになりました これまでの日本の電力システムというのは、絶対安定供給体制と言います。1日の電力需要曲線の時間軸に対しての大きな波打ちに対して、その最大需要の、それも年間の最大需要も賄える設備を用意して電力を作っています。電力を需要したい人は好きなだけ勝手に使えるということです。 でも、これはよく言われる笑い話で、需要曲線が最大になる時間は年間にせいぜい10時間あるかないかなんですね。年間でもピークと言うのは、8月の最初の週の甲子園野球の準決勝と、決勝の時間くらいです。 その10時間にしか到達しない最大ピーク電力量を守れるような設備投資を、確実に準備しておくという話です。この経済合理性に合わない仕組みを日本の電力会社は、着実に続けてきました。 国の方針として、絶対安定供給体制を守れと言われているので、設備投資を十分にして、その方法を続ける他ありませんでした。 なので、年間にわずか10時間しか使わないような過剰設備を抱え込む仕組みで日本は歩んできました。 ですが、3.11をきっかけとして、これは経済合理性に合わないことであると多くの人が理解したと感じています。

エネルギーマネジメント事業を手がける「エナリス」との出会い

このような状態になると、需要曲線の縦軸である瞬間の電力量(キロワット)をどううまくコントロールしていくかというデマンドレスポンス、あるいは、節電を行ったらその節電量は、単に当然ながら請求されないだけでなく、ネガワット発電が行われたとみなして電力会社が買い取るネガワット買い取り制度や、そのネガワット発電量を取引するネガワット取引市場の創設。これらを日本においても取り入れていくほかありません。 その流れのなかで、エナリスと私は出会いました。そのようなことができる会社が日本ではエナリスのほかありませんでした。 th_1439279717 デマンドレスポンスの仕組み、メガワット発電への払い戻しなどを行える会社を国として探していた際にパッと手を上げたのがエナリスでした。 そしてエナリスがマザーズ上場にあたり社外取締役を探しているというご相談をいただいて、このような背景のもとにお引き受けいたしました。

東京五輪、IoT時代を見据えた電力システム改革

──村上さんご自身がエナリスで達成したいことはどのようなことでしょうか? 村上 私の思いを言いますと、電力システム改革です。電気事業法改正案は、2015年4月1日から施行され、新しく電力広域的運営推進機関が設立されました。 一部の電力会社が絶対的な供給責任を持っていた時代から、形的には半官半民の広域機関が電力の供給責任を持ちます。しかし、持っていると言ってもまだ形のみです。 私たち、エナリスも含めた民間企業600社が手を携えて、絶対供給体制に匹敵するような安定供給の仕組みを作っていく5年間が、これから到来いたします。 昔の経済合理性に合わない仕組みではやっていけないと多くの人が理解したわけですから、今後需給バランスをどのように形成していくのか、その部分でエナリスが果たせる役割を、期待されていると感じています。まずは、その期待を十分に果たしていきたいと考えています。 さらに、その先には2020年に東京オリンピックが開催されます。これは国として、スマートジャパンを見せつけなくてはならない機会だと感じています。 なので、それまでにきちっとした上で、更にスマートな電力システムを仕上げていくという面で貢献したいです。 また同時に、IoTは本当にそこから花開くと思っています。IoTの発展のなかで、エナリスがある一定の役割を果たせるような会社に社員と一緒に育て上げていくつもりです。 エナリス前社長の池田さんが「エネルギー情報業」という言い方をしていました。「エネルギーを切り口とした情報業を」ということですが、今後IoTの時代になり、エネルギーに関しての情報業がオリンピックから先にさらに花開くと感じています。 エナリスとしてはそこを目指していこうと、社員の人たちと様々な作戦を練りつつありますね。電気事業法の仕組みの中で貢献しながら、そこに留まらずに「エネルギー情報業」としての先行きをしっかりと見据えた企業という点を、再構築していく所存です。 一方で今回、不祥事を引き起こしてしまい、コーポレートガバナンスに関する問題として、しっかり対応していかないといけない事が山ほどあると考えています。その点はもちろん誠心誠意行っていくつもりでいます。

長期的なビジョンは誰にも見えていない

──村上さんの長期的なビジョンを教えてください。 村上 私は、長期的なビジョンほど、誰にも見えていないと思います。 それは、ちょうど30年前に、電電公社が民営化されましたよね。その後、携帯電話がこんなことになろうとは、インターネットがこんなことになろうとは1986年には、誰も思っていなかったはずです。 そういう意味合いにおいて、長期ビジョンと藤岡さんがおっしゃいましたが、私は「誰も持っていない」と、正直思います。 なぜかと言うと、この電電公社の民営化以来、30年間で起こったような事が、これからの30年、いや10年ぐらいで、電力システムの周辺で起こると思います。 電話が携帯になりましたとか、インターネットの時代になりましたとか、このようなことに匹敵することが、電力システムの周辺でも、遅くとも東京オリンピックの前後から見えてくるはずです。そのなかでも重要な役割を、エナリスが果たしたいと思っているわけです。 例えば、電電公社の民営化でよく話題になるのは、稲盛和夫さんがDDIという会社をお作りになりましたよね。 第二電電ということで、電話会社としてお作りになったのですが、その後さまざまな会社と離合集散を繰り返した結果として、今はKDDIです。 KDDIさんは電話会社でもあるし、携帯の会社でもあるし、インターネットの会社でもあるわけです。それに伴って、本来のNTTさんも、景気が良くなりましたね。片側では、ソフトバンクさんのような会社が生まれ出ているわけです。 もう、何が起こるかわからないという意味合いにおいて、「長期ビジョンを持っています」と発言するのは、不遜極まりないですよね。「何が起こるかわかりません。でも、今後とんでもないことが起こるでしょう」と。 とんでもないことが起こるビジネスチャンスを、その都度しっかり掴みながらこのエナリスという会社は、現在は電力システムの面で貢献する会社として歩みつつあります。 東京オリンピック前後に、本来のエネルギー情報業と呼んでいる実態が、きちんと絵に描けているとは言いません。 ですが、電電公社の民営化から30年間かけて起こったことが、これから10年ほどで起こるということを想定しつつ、エナリスという会社を育てていきたいと思っております。 th_1439279989

  

※続きは近日公開

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