<伸びてる企業を探す> ほんとの利益?

 株式投資の基本は「伸びている企業を探して、投資する」でしょう。株価はまた、将来の企業に対する期待を反映しています。伸びている企業を探すには、まず 利益が伸びているかどうかを分析する必要があります。つまり企業の業績分析が重要となります。 このように企業の業績をもとにして分析する方法をファンダメンタル分析と言います。

 証券市場に上場している会社は会社の財務内容を開示する義務があります。会社が広く世間に企業の業績内容を発表することを「ディスクロージャー」とも言います。上場会社は年度ごとに「有価証券報告書」を提出しなければならず、この中には「会社概要」「事業概要」「営業状況」「設備状況」「経理状況」「関係会社」「等の内容を含まなければなりません。

<基本の基本> 

 「利益」 = 「収益」 − 「費用」  

企業が儲かっているかどうか、順調かどうかを見るための基本はこの3つの言葉です。

収益」 売上のこと。企業がモノを売ったり、サービスを提供することによって、顧客から得るお金です。

費用」 モノを作るために必要な材料費や人件費、企業が払うお金です。

利益」 収益から費用を引いたものが利益になります。プラスなら「黒字」 マイナスなら「赤字」となります

<損益計算書>

 企業の決算書類の一つである、損益計算書がこの3つをまとめたものです。企業の利益状況を調べる際には損益計算書を調べます。 一定期間における企業の成績表ともいえ、企業の収益性分析に役立つ方法になります。これはバリュー投資、グロース投資どちらの分析方法の場合でもまず確認する重要な指標となります(補足4へ)

<概要> (別称)

営業収益(売上高 本業で得た収益。
営業費用 本業を行う場合に支払った費用。業種によっては「売り上げ原価」「販売費及び一般管理費」の2つの項目に分けて記載されることもある。
営業利益 営業収益−営業費用 つまり、本業での利益 
営業外収益 企業も銀行に手持ちの現金を銀行に預金をします。それに対する利息を受け取ります。また他の企業の株式を持っていれば配当を受け取ります。このような本業以外の収益。
営業外費用 企業が営業資金を銀行から借り、借金をした際に利息を支払います。本業以外の費用。
経常利益 営業利益に、営業外収益を足し、営業外費用を引いたもの。企業の実力を示す、もっとも注目される利益と言えます。
特別利益 企業が保有していた土地を売却した、保有していた他の企業の株式を売却した場合等、当期のみ臨時に入ったお金。利益であるが、収益に近い。
特別損失 災害で工場が壊れたり、不良債権を処理した場合など、当期だけ臨時に出て行ったお金。損失とあるが費用に近い。
税引前当期利益
税引前純利益
特別利益と特別損益を経常利益にプラスマイナスして、税金を支払う前の利益。
法人税・住民税・事業税 企業に課される税金。法人税は国に、住民税・事業税は地方自治体に支払う。

当期利益 (純利益

税引き前当期利益から税金を引いたこの1年の最終的な利益。赤字の場合は「当期損失」と書かれる。
1株当たり純利益 当期利益(税引き後利益)からは株主への配当が行われます。(次年度に利益を繰り越すこともありますが)、税引き後利益を発行株式数で割ったもの。(Earnings Per Share:EPS

<各利益の関係>

@営業利益=営業収益−営業費用
A経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用
B税引前当期利益=経常利益+特別利益−特別損失
C当期利益=税引前利益−税金
D1株当たり利益=当期利益÷発行済株式数

<EPS:Earnings Per Share:1株あたり純利益、1株あたり当期利益>

1株当たり利益=当期利益÷発行済株式数

 長期的に安定している会社かどうか判断する場合には「安定した利益」を上げているかが重要です。
安定性は過去に安定した利益を出しているかがポイントとなります。EPSの数値が高い程、株主のお金
を使って利益を生み出しているということになりますが、単年度だけでみるのではなく、過去10年位での
数値を観察することが必要です。

<売上高営業利益率>

売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100(%)

 売上高に対してどれくらいの営業利益をあげたかを見るもので、企業本来の営業活動による収益力を観察できます。
単年度だけで判断するのではなく、過去からの利益率の変化や業界平均と比較して考えます。売上高利益率を高める
ためには、売上を伸ばすか、費用を削るかです。どれだけコスト削減を頑張っているかを見る指標でもあります。

<売上高営業利益率の業界平均>(引用:三原 淳雄 『バフェット入門』)

建設

3.48%

サービス
6.92%
通信
6.79%
小売
3.43%
医薬品
19.41%
鉄鋼
11.19%
電気機器
5.04%
自動車
6.74%

新日鉄 15%  松下電器 2.7%  すかいらーく 5.3%

練習(ワークシート2)

1)配布したプリントはある企業(エプソン)の損益計算書を簡略化したものである。空欄に適切な金額を書き入れなさい。

※「スタート」⇒「すべてのプログラム」⇒「アクセサリ」⇒「電卓」で計算ができます。

2)インターネットで検索

Yahooファイナンスから、興味ある企業を検索し、「企業情報」⇒「決算情報」から簡単な損益計算書を確認することができます。
興味ある企業の決算情報を確認して、経常利益がどのように変化しているか確認してみましょう。

3)Yahooファイナンスの単独決算推移を利用して、次の2社のEPSを3期分比較し「安定性」を考えましょう。

セイコーエプソ(6724)
キャノン(7751)
前期
2期前
3期前