【社説】欧米で台頭する孤立主義、韓国が生き残るにはどうすべきか

 英国が欧州連合(EU)から離脱することへの懸念が広まりつつある。離脱するかどうかを決める国民投票が1週間後に迫った今、複数の世論調査で離脱派の優勢が伝えられていることから、英国のEU離脱によってもたらされる混乱が世界経済の新たな火種として浮上してきたのだ。

 もし離脱が現実のものとなれば、それが世界経済に及ぼす影響は計り知れない。まず欧州の他の国でも自国中心主義の傾向が強まり、EU全体で離脱の流れは止められなくなるだろう。またたとえ英国が離脱しなかったとしても、このような流れ自体が大きく変わることもないはずだ。英国における今回の国民投票をきっかけに、統合と単一市場を理想として掲げてきた欧州の共同体主義が大きく後退し、孤立主義が完全に定着する可能性が高まっているのだ。

 また米国でも大統領選挙を控え、新たな孤立主義とも呼べるさまざまな動きが表面化している。米民主党のクリントン候補と共和党のトランプ候補は政治的な考え方こそ異なるが、通商分野においてはその主張に大きな隔たりはない。そのためどちらが当選しても米国の次の政府は自由貿易よりも保護貿易の方向に進む可能性が高い。また両候補はいずれも環太平洋連携協定(TPP)を批准しないことも公約として掲げており、韓米自由貿易協定(FTA)にも消極的な考え方を示している。

 とりわけ「トランプ現象」とも呼ばれるトランプ氏の予想外の躍進は、米国と米国人の考え方や世界観が根本から変わりつつあることを示している。第2次大戦以降、米国中心の世界秩序「パックス・アメリカーナ」を可能にした介入主義が後退し、新孤立主義が新たな流れになったとする見方にも説得力が出てきた。「メキシコとの国境に壁を造る」といったトランプ氏の過激な主張に、米国の有権者たちが熱狂しているのも、今後の米国の外交政策が「米国優先主義」に転換することへの予兆とも受け取れるだろう。

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