ネットのごく一部で拡散されている皇室批判の内容を見ながら、ネット・リテラシーについて考えるシリーズ。 前回の記事はこちらです。 → 皇室批判に学ぶネット・リテラシー(1) 今回は一部ネット上でまことしやかに囁かれている、皇后陛下が「伝統を破壊」しているという内容について検証してみたいと思います。 「伝統破壊」とはいったいどういうことなのか?ネット上で見かける主張はこんな感じです。 ・皇后陛下が皇室伝統の御地赤の意匠を勝手に変えてしまった。 「御地赤」というのは、内親王が誕生日などで天皇陛下にお会いする時に着用する特別な着物のことで、地色が朱色なので「御地赤」(おじあか)と呼ばれるそうです。これは平安時代からあったとのことです。 その「御地赤」の意匠を皇后陛下が勝手に自分流、彼らが言うところの「あたくし流」に変えてしまったために、公家の伝統が途絶えてしまった!と主張しています。 さて、このお話の元ネタを辿ってみますと・・・ なんと2010年の2ちゃんねるでした。 「ソースは2ちゃんねる」でした、以上! と、終わりたいところですが、ここはもうしばらく我慢して続けてみたいと思いますw 元のスレッドはこちらになります。 → 【保守の怒り】皇室問題を語る【疑問と不満】part5 このスレッドの「634」がこちらです。 634 : 朝まで名無しさん [sage] 2010/11/14(日) 02:30:27 ID:ypqlB/iH 皇后陛下が伝統を破壊したと主張している記事を見ると、だいたいどこもこの書き込みがコピペしてあります。 今どきの中学生でさえ、2ちゃんねるの書き込みを根拠とする子はいませんが、それが堂々とソースとして提示してあるところがなんとも言えませんw しかも、上記スレッドの中でも特に皇后陛下に関する批判のみを抽出しているのです。 このスレッドには他にもこんな書き込みもありました。 640 : 朝まで名無しさん [sage] 2010/11/14(日) 06:39:38 ID:X1raXo7g 2ちゃんねるを根拠とするならば、せめてその中で議論された反対の意見も提示する必要があると私は思いますが、自分が広めたいものだけを限定して提示する。ネット上ではよくあるパターンですね。 ちなみに小石丸の件は拙ブログでも以前に詳しく取り上げておりますので、「634」の書き込みが大嘘であることがわかりますw 「小石丸」は正倉院裂(しょうそういんぎれ)の復元のほか、鎌倉時代の絵巻の名品「春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ)」の修理にも役立てられました。皇后陛下は伝統を破壊するどころか、伝統の復元に寄与されていますね。 復元された正倉院裂 また、悠仁親王殿下がお宮参りの時に羽織られた御初召(おうぶめし)も小石丸から作られました。 御初召のお写真もググればすぐに見つかります。 フランスのパリで行われた皇后さまの養蚕展の内覧会で 展示された秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまの産着「お初召」(共同) 御地赤に関しては、私も着物のことはほとんど無知ですので専門的なことは書けませんが、しかし意匠については少しは言えると思います。なんせ「文様好き」なもので♪ ネット上では文様の位置が結界になっていたとか、まことしやかに囁かれていますが、もちろんそんなことはありません。どうしてこんな嘘を平気で広めることが出来るのかwww 古代からある、ひとつひとつの文様に込められているのは、長寿でありますように、とか、健康でありますように、幸せでありますようにという願い、感謝の気持ち、「祈り」です。 そして他の御地赤の画像を比較してみたら、文様がそれぞれ異なることは一目瞭然であり、位置が「恣意的に」変えられたという主張がいかにいい加減なものかがわかると思います。 ちなみに・・・ 愛子内親王殿下の御地赤に「鳳凰」が使用されていたということもなぜか批判されていますが、鳳凰は古代からある代表的な吉兆文様ですよね。 こちらのサイトでは桂宮淑子内親王(第120代仁孝天皇の皇女)がお召しになった、夏小袖の画像を観ることができます。 → 主な所蔵品 青梅きもの博物館 「鳳凰花折枝文様刺繍帷子」 平の純金系蘇芳で染められた、美しい紫の糸で刺繍された鳳凰が素晴らしいですね。 桜、牡丹、菊などの草木もすべて刺繍。実際に観たらもっと美しいだろうなと思います。 鳳凰の文様を内親王ガー!とか批判している方々もいらっしゃるようですが、 どこがいけないのでしょうね?www 今回のケースで言えることは、「2ちゃんねる」をソースとして提示しているものは基本、信用してはいけない。という、とっても当たり前のお話でした。 そして、与えられた情報がほんとうに正しいのかどうか、必ず自分で検索してみましょう、ということです。 (12月9日、追記しました) 御地赤について、詳細を調べてさらに追記しようと思っていたら、「憲法一条の会」というところで「御地赤についてのデマ」という検証記事が上がっていましたので、そちらを紹介したいと思います。 検証記事はこちら → 「御地赤についてのデマ」・1 こちらのサイトでは、御地赤について、実際に制作者の方に確認されていますね。 1.御地赤の刺繍には、結界の意味はありません。 ということです。ネット上で拡散されていることがはっきりと捏造であることがわかります。 また、このようなことも書かれていました。 「だいたいが御地赤を作れる業者はいま、ほとんどいません」とのことで、美智子皇后が「ひいき」で業者を変えたというのはまったくのデマ。 つまり何から何まで悪意ある捏造で固められたデマということですね。 ネット上では御地赤を制作した業者のことを「皇室に儲けさせてもらっている新参者」などと罵る意見も拝見したことがあります。私はその書き込みを読んで、何とも言えない許し難い思いを抱きました。 小石丸と御地赤のデマで皇室を陥れるだけでなく、必死になって日本の伝統を守っている職人さんたちをも陥れる。「伝統を守れ!」「伝統を破壊するな!」と激しく罵りながら、そんな連中が知らないところで伝統を断ち切らないように、なんとか最後まで踏ん張って、歯を食いしばってやってきた方々をも悪意をもって非難するその行為は、私にとって到底看過しきれないものでした。 「一条の会」の検証サイトにある御地赤のデマについては「1」とあるように、続きがUPされるのだろうと思います。 またUPされた時にはこちらにリンクを貼りたいと思います。 ※この記事はリンクフリーです |
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皇室批判に学ぶネット・リテラシー(3)
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ぴよぴよ党 2015/12/09 11:29 |
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ぴよぴよ党 2016/02/10 17:10 |
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ぴよ様、こんしお〜〜! |
Mansikka 2015/11/24 16:41 |
いつも丁寧な検証記事ありがとうございます(^人^) 自分ではしないので、感謝しております。 |
ミケの友達 2015/11/24 18:44 |
<Mansikkaさん> |
ぴよ 2015/11/24 20:39 |
<ミケの友達さん> |
ぴよ 2015/11/24 21:03 |
よくもまあ、これだけ話を作れるもんだって思うくらい、 |
ららら♪ 2015/11/25 23:45 |
<ららら♪さん> |
ぴよ 2015/11/26 18:23 |
ぴよさんこんにちは。この所の右へ倣えとばかりの沢山のブログ、読むのもきつくて。小石丸に至っては、『ショール位にしか…』に悠仁さまの『御初召』に用いられたのでは?と疑問ながらも『色々あげつらう人もいるもんだ』と自己完結してたのですが。ぴよさんの様に両方を比較して見極めるのって日常においても大事だと痛感しました。「たとえ相手が悪質であっても過剰に嫌うあまり自分もわざわざその相手と同じ存在にならないよう注意が必要である。」肝に命じます。それと『民間防衛』やっとゲットしました。本は自らの足で探す信条でしたが、今回ばかりはamazonに縋りました(笑)左開きの横書きで少々苦戦しそうですが、かなり衝撃受けてます。 |
池乃恋 2015/11/29 12:01 |
pppppp、 |
ららら♪ 2015/11/29 16:33 |
<池乃恋さん> |
ぴよ 2015/11/29 20:03 |
<ららら♪さん> |
ぴよ 2015/11/29 20:06 |
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