ネット上には、以前から囁かれている皇室にまつわる噂話で、今では2ちゃんねるでさえも「捏造認定」されているものが、まるで真実であるかのように独り歩きして、皇室バッシングブログやTwitterなどで拡散されているものが多々ありますね。「ヤフオク事件」もそのひとつです。今日はその中でも皇室とキリスト教に関する噂話の嘘について書きたいと思います。 皇室とキリスト教に関する噂話でもっとも多いものは、 @皇后陛下がキリスト教を持ちこんで、皇室に馴染ませてはならない思想を植え付けた。 A皇后陛下が皇室でキリスト教の話をしたとして、昭和天皇に叱責された(いわゆる宮中聖書事件) なんというメジャーな話w このお話はすでに事実ではないことが一部では語られているものの、「嘘も百回言えば真実になる」を実践している皇室バッシングブロガーたちは、時々思い出したようにさらっとブログ記事に盛り込んだりします。 こちらは拙ブログではお笑い担当としてお馴染みの、あの伏見氏のブログからです。 伏見顕正(あきまさ)の時を斬るブログより >日本の神道の総本山の皇室に聖書を持ち込むのもどうかな〜と思います。 伏見氏は「どうかな〜」と危惧されているようですが、皇室とキリスト教との関わりは戦前からあったということを、皇室ウォッチャーが知らないとはどういうことでしょうか? 皇室にキリスト教を持ち込んだのは皇后陛下? 皇室批判をネット上で展開している方々は、当然、皇室に関心がある層で、皇室を思うがための批判であるはずですね。それなのに、彼らは「昭和天皇実録」に関するニュースや、実際に発売されている「昭和天皇実録」を購入して読んでみることもしないのでしょうか? 皇室では明治時代から宮廷でクリスマスを祝っていたことがわかるのにねー。 明治40年12月18日 明治41年12月17日 例として2つの記述を引用しましたが、明治以降、日本に入ってくる西洋文化、そして西洋思想を理解する上でキリスト教を学ぶことは大変重要なことでしたし、皇室も柔軟に受け入れてきた様子がわかりますね。 「昭和天皇実録」が公開された2014年秋には、この手の記事がいくつか配信されていました。それらの記事を見ると、昭和天皇や香淳皇后のキリスト教に対する関わりもわかります。 昭和天皇、キリスト教に関心の理由 こちらは小田部雄次氏の著書より。 ところで、戦時中に香淳皇后に聖書を進講した女性がいた。野口幽香である。野口は慶応二年(1866)2月1日、姫路藩の代々の砲術藩士の家に生まれた。父母を失った悲嘆もあって教会に通うようになり、明治22年に受洗した。 また、実録にはさらに興味深い事実も記載されているようです。この部分はまだ一般に発売されていないので私は読むことは出来ませんが、こちらも実録にある事実です。 いわゆる「宮中聖書事件」について “佳子さまICU志望”で考えた 皇室とキリスト教はどんな関係? 皇后陛下が昭和天皇に皇居内でキリスト教の話をするなと叱責された、いわゆる「宮中聖書事件」などという話も皇室バッシングブロガーらは度々引用していますが、「当時の雑誌が書き立てた噂話」であり、事実ではないと昭和天皇自身がおっしゃっていますね。ちなみにその“雑誌”というのは1987年1月発行の文芸春秋ですw こういった週刊誌などの雑誌なんて、いつの時代も売れるなら何だっていいという姿勢は同じなんですねー。 昭和天皇とキリスト教 ところで、今上陛下が学生の頃に、家庭教師としてクエーカー教徒のヴァイニング夫人が赴任したことについて、今上陛下もまたキリスト教徒に“洗脳”されたと主張する皇室バッシングブロガーがいます。 なんでも今上陛下に「べったりと」張りついて「西洋式の考えを刷り込んだ」という主張です。しかしその主張に沿えば、昭和天皇もキリスト教徒に“洗脳”されたことになってしまいますよw 捏造記事の一例 ↓↓ BBの覚醒記録より >二重橋を初めてキリスト教徒とバイブルが渡りました。(キリッ! いや、初めてじゃないからwww >クェーカー教徒がべったりと、皇太子に張り付き ・1946年10月〜 週1回(1時間)の個人授業 週2回 学習院クラスでの授業 ・1947年1月〜 週2回(各1時間)の個人授業 週2回 学習院クラスでの授業 これが彼らにかかると「べったりと張り付いた」ことになるんですねw ちなみに香淳皇后も週2回の英語の授業をヴァイニング夫人より受けていましたが、これも「べったりと張りついて」皇后陛下を“洗脳”したことになるのでしょうか?www ※実際には誰も“洗脳”されていません。誤解無きように(笑) 昭和天皇の養育係の一人、足立たか(後の鈴木貫太郎婦人)の両親はキリスト教信者ですし、足立たか自身もキリスト教徒でした。足立たかは、明治38年から大正4年までの10年間、昭和天皇が14歳の時まで養育係を務めました。昭和天皇は、昭和55年12月の記者会見で、「鈴木(足立)たかは、本当に私の母親と同じように親しくしたのであります」と語っています。 また、昭和天皇が皇太子時代にヨーロッパを外遊した際に供奉長として付き添った珍田捨巳(メソジスト派牧師)は、1927年から1929年にかけて昭和天皇の侍従長を務めています。 下記は珍田捨巳氏のWikiより。 (一部抜粋) さらに、先述した今上陛下の家庭教師ヴァイニング夫人についてですが、皇室バッシングブロガーらは「外国人家庭教師をGHQが押し付けた」と主張していますが、これも誤りです。 以前の記事にも少し書きましたが、皇太子殿下(今上陛下)に外国人家庭教師をあてることについては、昭和天皇の強い意向も働いていたのです。むしろ積極的に関わっていました。 戦後のキリスト教 ここで少し戦後のキリスト教について書いておきたいと思います。 日本におけるキリスト教の割合は、カトリックとプロテスタントを合わせても百万人程度で、人口の1%にもなりません。戦後、新憲法のもとで信教の自由が確立され、自由に布教できるようになったために一時的に増加したものの、敬虔なクリスチャンであったマッカーサーの期待したようには広がらなかったのです。 マッカーサーは「キリスト教の寛容と正義という人間関係は、日本占領に当たって降服した敵の処遇を律する一つの政策の基調となる」と信じ、日本をキリスト教化したかったようで、ポケット版聖書連盟に要請して一千万冊の日本語の聖書を配布させたり、戦後5年で2500人の宣教師が来日させたりとずいぶん頑張ったようです。ですが失敗に終わりました。 GHQが日本をキリスト教化させたかったことは間違いありません。しかし戦後のキリスト教にはもっと重要な役割がありました。それは「反共(反共産主義)」です。 前述したように、日本のキリスト教信者は人口の1%にもなりません。しかし保守政治家にクリスチャンが多いのは、戦後、脅威を広げる共産主義に対する国際的な防波堤としてのキリスト教の役割があったからとも言われています。韓国でキリスト教信者が多いのも、反共の防波堤として普及したからというのも理由のひとつです。 マッカーサーも「アジアを共産主義の魔の手から守るにはキリスト教しかない」という信念を持っていたそうです。 また、カトリックが反共主義なのはとても有名な話ですね。 戦後、極東委員会や米国国内でも天皇の戦争責任を追及する声が大きかった中で、マッカーサーが「天皇制」を存続させようと考えたのは、ひとつには日本国民の精神的支柱である天皇の存在を利用して安定した社会や政治を行えるようにした、ということがあげられますが、これは同時に、激化する米ソ冷戦の最中で対共産圏戦略として、なんとしても日本国内を早期に安定させなければならなかったということも意味します。そして皇室や政治に多くのキリスト教信者が採用されたのも、これらの理由によるもの、と考えることができます。 前述のようにGHQのもとで布教活動を発展さていたキリスト教ですが、そんな中でキリスト教信者である賀川豊彦や前田多門らが直接政治に関与して、天皇制擁護に尽力しています。賀川氏は社会運動家であり、日本社会党を結成した政治家でもありますが、昭和天皇・皇室の熱烈な支持者でもありました。 また、賀川氏だけでなく、戦後に皇室に関与したキリスト教信者も同様でした。 その中には、「陛下をお救いなさいまし」で知られる河合道氏や一色ゆり(旧姓・渡部)氏もいたし、昭和天皇や皇后に聖書の講義を行った植村環氏もいました。 現在、キリスト教というと「反天皇制」やら「反日」のイメージが強いけれど、戦後はまったく逆だったのです。 そして「反共」という意味では、東宮参与になった小泉信三氏の存在も忘れてはいけませんね。 小泉信三氏とは バッシングブロガーたちが「美智子様を皇太子殿下(今上陛下)に引き合わせた中心的存在」の「キリスト教信者」として糾弾している人物ですw 小泉信三氏は昭和天皇から厚い信頼を寄せられていたこともあり、東宮参与(皇太子殿下の教育)に抜擢されました。その小泉氏は反共産主義でも大変知られている方ですね。昭和24年、日本の論壇の中でも共産主義礼賛が広まる中、「共産主義批判の常識」という書籍で、現代では当たり前になっているような共産主義の欠点を冷静に指摘してベストセラーになっています。 前述しましたように、当時の社会背景は共産主義が広まりを見せるような混沌とした時代の中で、「反共」である小泉氏が皇室内にいた。さすがは昭和天皇・・・ 今も昔も、日本の皇室を破壊しようと工作しているのは共産主義者たちであるということは、賢明な皆様はよくご存じのことと思います。 おっと、大部分を端折ったつもりですが、ついまた長い記事になってしまいました(;´Д`) これ以上は、またいずれw 最後に、キリスト教徒である内村鑑三の著書を読んで、貞明皇后が詠じたこの御歌をご紹介して終わります。 異国(ことくに)のいかなる教え入り来るも 溶かすはやがて大御国(おおみくに)ぶり キリスト教も日本に入ると外国の宗教にならない。必ず日本人が消化するところとなり、「大御国ぶり」を発揮するでしょう・・・ ※参考 → 真島久美子先生 特別寄稿「皇室とキリスト教」 |
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タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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去年BBの覚醒ブログから覚醒した報告して以来ご無沙汰しております。 |
myco 2016/03/12 14:56 |
ぴよ様、再度失礼いたします。 |
myco 2016/03/12 17:17 |
<miyoさん> |
ぴよ 2016/03/12 17:34 |
<mycoさん> |
ぴよ 2016/03/12 17:46 |
ぴよ様お返事ありがとうございます。 |
myco 2016/03/13 01:37 |
訂正です。 |
myco 2016/03/13 02:20 |
ぴよさん、興味深いお話、ありがとうございます。 |
ららら♪ 2016/03/13 09:04 |
ぴよさん、なじぇか気持ち玉をポチ出来ないニダ・・・ |
Mansikka 2016/03/13 17:11 |
ぴよさま、こんばんは(^^) |
Pica 2016/03/13 19:42 |
<mycoさん> |
ぴよ 2016/03/13 19:50 |
<ららら♪さん> |
ぴよ 2016/03/13 19:54 |
<Mansikkaさん> |
ぴよ 2016/03/13 20:01 |
<Picaさん> |
ぴよ 2016/03/13 20:09 |
こんばんは(*^^*) |
ミケの友達 2016/03/13 20:52 |
<ミケの友達さん> |
ぴよ 2016/03/14 14:23 |
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