2016年6月16日23時09分
一審・仙台地裁で裁判員を務めた男性は13年4月の朝日新聞の取材に対し、「1人でいると、心が折れそうになる。原因はやっぱり、『自分は人殺しだ』という思いです。死刑の重さは背負いきれない」と話していた。音楽を聴いている時などに、ふと涙がこぼれてくることがあるという。
裁判員経験者の交流団体でまとめ役をしている田口真義さん(40)は、「裁判員が少年法の理念や少年院の教育について知る機会をつくってほしい」と訴える。少年の更生を促す少年法の理念について、裁判官から十分な説明を受けなかった裁判員もいるという。
「成育歴の記録などを精査する時間もないままに、他人の将来を左右する判断に関わったことが裁判員を苦しめる」と指摘。「死刑についても執行の実情や死刑囚の状況など分からないことばかりの中で判断を迫られる。少年への刑罰や死刑制度についてこの機会に国民全体で正面から向き合うべきだ」と話した。
一方、川崎市の多摩川河川敷で中学1年の男子生徒が殺害された事件で不定期刑となった無職少年(19)の裁判では、成育歴についても裁判員が活発に議論した。補充裁判員だった20代男性は判決後の記者会見で、「少年法に守られているが、被告はかなり大人に近いと思う。人を殺してしまったけれど、死刑にならなかったということを考えて欲しい」と述べていた。
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朝日新聞社会部
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