ネットストーカの恐怖
あれは今からもう10年前のことだろうか。
私がフリーランスで自宅で自由に仕事をしていた頃のことです。
個人事業なのでホームページに個人情報を掲載していました。
それは一応のルールなので、そういうもんだろうと、特に不安もなく。
当時のインターネットでの交流のメインは掲示板でした。
その掲示板で私が何かアドバイスかレスしたのがきっかけで、その人は私にメールを送ってくるようになりました。決して出会い系とかではないです。
私が仕事で関わっていた仕事関係の掲示板です。
メールを送ってくるのはよくあることです。
しかしその人は突然電話をかけてきたのです。
もちろん全くお会いしたことのない人です。
もしもし・・・
◯◯です・・・
名前で相手が誰なのかすぐにわかりました。
私は少し厄介だなと思いながら電話に出ました。
どうしました?
はじめの内はまだ普通っぽい会話でしたが、特に用もないのにネットで個人情報を調べて、いきなり電話をかけて来た時点で、わたしは少し病的なものを感じていました。
電話は何度かかかってきました。
そのうち毎日かかってくるようになりました。
すいません、今から本を朗読するので聞いてもらえますか?
すいません、わたしは仕事があるので困るんですが。
少しだけでいいので聞いてください。
私は受話器を切らずに放置しました。
その人は確か延々1時間ぐらい本を朗読していたと思います。
◯◯でお会いしたことがあるのですが、覚えていませんか?
お会いしてないですし、その場所に行ったこともありません。人違いです。
そんなやり取りもありました。
その人から時々家にものが届くようになりました。少し気持ちの悪い内容の手紙となぜかお菓子が入っていました。しかもボロボロでした。
郵送中にボロボロになったのか?
それにしてもボロボロすぎる。
お菓子の商品名を書けば、どこの人なのかすぐにわかってしまうので、あえて書きません。私の住むところからはかなり離れている場所でした。
それが何度か続きました。
電話も相変わらずでした。
「困るのでもうやめてください」とお願いしてもやめてくれませんでした。
着信拒否の設定をしました。
ネット関係もメールの受信拒否、ホームページへのアクセスブロック、出来ることはやりつくしました。
これがネットストーカーか・・・
私の心は次第に恐怖で埋まっていきました。
送付物は相変わらず続きました。
そして、ついに恐怖に打ち震える日が来てしまいました。
夜中の2時頃、さあ寝ようかという頃に
ポンポーーーン
玄関のチャイムが鳴りました。
私は一気に青ざめました。
こんな夜中に友達が急に遊びに来るわけがありません。
そうです、あいつです。
ネットストーカーがついに家にまでやってきたのです。
(書いてる今も思い出すと恐怖です)
私はあまりの恐怖にしばらく動けず、息を潜めていました。
しばらくして、ドアの覗き穴から外を見ると、しっかりと人影がありました。
心の中がざわざわと、血の気が引きました。
とにかく諦めて帰るまでじっとしておこうと思い、息を潜めて立ち去るのを待っていました。どれぐらい時間がたったのか・・・その時間はずいぶん長く感じました。
ようやく離れていく足音が聞こえました。
完全に何かの精神疾患だろうと確信しました。
恋愛妄想、関係妄想、強い願望や妄想が虚実の境目を無くしてしまいます。
その日はこれで済みましたが、その後も送付物は止みませんでした。
電話は着信拒否したので大丈夫でしたが、いつも同封されている送付物が気持ち悪かったので、困っていました。
いろんな事情もありましたが、良い機会だと思い引っ越すことにしました。
これで送付物もこないし、突然家に来られることもないだろうと、ひとまず安心しました。しかし、甘かったです。
引っ越ししてしばらくした日のこと、宅配便で荷物が届きました。
配達員が気を利かせて引っ越し先に持ってきてくれたのです。
今までは封筒だったり小さなものだったのですが、今度は大きなダンボールです。
例えが悪いですが、犬が一匹・・猫・・人の頭・・・
そんなものが入っていてもおかしくないような大きさでした。
重さも結構あるように思いました。
私は配達員に言いました。
「すいません。これイタズラなんです。受け取り拒否できますか?」
私は一筆書いて受け取り拒否をすることができました。
(受け取り拒否は申し出れば可能らしいです)
本当は何が入っていたのかわかりませんが、大きなダンボール、今でも恐怖です。それが最後に、送付物も止みました。
通称ストーカー規制法は2000年・平成12年に制定
ちょうどその頃だったか、ストーカー、ネットストーカーなどの言葉が一般に認知され始めた頃です。
インターネットが流行る前は、個人情報って電話帳で調べられるぐらいで、見ず知らずの人が家に電話してくるなんて、セールスの電話ぐらいで、とても考えられませんでした。私はこの頃から人の心理に興味を持つようになりました。
気に病んでいる人が沢山いることを知りました。
SNSが流行って、フォロワー・応援者が増えるのはいいけど、ファンとストーカーの境界線というのは見えない。アイドル活動をしていた人の事件も記憶に新しい。
あなたの個人情報は大丈夫ですか?
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