その手は
大きくて
初めはちょっと怖かったけど
毎日やって来てくれて
虫から守ってくれたり
寒さを和らげてくれたり
いつもぼくを守ってくれた
ぼくは
その手が大好きだった
ある日
その手は
ぼくのカラダに鋏を当てがい
ぼくのカラダを、刈り取った
痛みに泣いていたぼくを
幸せそうに、包みこんだ
とても哀しかったけれど
その想いを感じたら
それでもいいと思ったんだ
生まれ育った地を離れ
どこか遠くに向かっている
どこへ行くのだろう
ぼくは
ぼくの残り時間について
考えていた
長旅から明けて
気付けば
過ごしやすい温度に保たれた
室内にいた
新しく出会った手は
ぼくを優しく迎えてくれた
ぼくの残りの命を思い
毎日優しく触れてくれた
ぼくはその手に
慰められ
精一杯生きようと思った
そうして
幾日かが過ぎた
雪の降るある日
白く美しい手が
ぼくを抱き上げた
その手は
ぼくのカラダを
そっと抱きとめ
愛おしげに
触れてきた
その指先から
伝わる、想い
あたたかい…
そうなんだね
うん
分かった
ぼくの命を
どうぞ
その願いに使ってください
ぼくを見つけて、選んでくれた
その手に
着いて行こうと
決めたんだ
その手の願いは
君が
元気でいてくれること
ぼくは
ありったけのちからで
咲き誇る
あの手が願った
君の笑顔を見るために
こんにちは
ありがとう
君のそばに
ぼくはいるよ