日銀は16日開いた金融政策決定会合で追加金融緩和を見送った。23日に英国の欧州連合(EU)離脱の是非を巡る国民投票を控えており、結果次第で円高・株安に拍車がかかりかねない。もしもの場合に備え、残り少ない緩和カードの温存を決めたといえる。
日銀の黒田東彦総裁は「必要があれば、ちゅうちょなく追加的な措置を取る」と繰り返してきたが、緩和の限界は間違いなく近づいている。マイナス金利政策は銀行や家計の反発が強く、すぐに深掘りできるかどうかは微妙。もう1つの緩和の柱である国債購入の拡大も市場に出回る国債が減り、長期金利が過去最低を更新するなかでは進めにくい。
世界経済の不確実性が高まり、先行きの金融市場も波乱含みの展開が予想される。追加緩和が必要になる局面は今後も訪れるとみられ、日銀は「いま無駄弾を撃つ余裕はない」と判断した。
今回の見送りで、市場では早くも日銀が7月に追加緩和に動くとの観測が高まっている。日銀は経済・物価情勢の展望(展望リポート)をまとめる7月の会合で、物価見通しを下方修正する可能性がある。物価2%目標の早期達成のためにも追加緩和は避けられないとの見方が出ている。
ただ景気や物価の基調が崩れるような変化があれば別だが、見通しの多少の下振れ程度であれば、緩和をさらに先送りする可能性がある。実際には英国民投票の結果を受けた円高・株安の進行が追加緩和のタイミングの判断に大きく影響しそうだ。
日銀の決定を受け、外国為替市場では円高・ドル安が加速。円相場は1ドル=104円台に突入した。せっかくの緩和カードの温存がかえって市場による緩和の催促を強めるという、日銀にとってはかじ取りが難しい局面に入りつつある。
(石川潤)