京都・大江高の市長選模擬投票「選挙後も公表不可」 福知山選管
12日に投開票された京都府福知山市長選で、同市の大江高が主権者教育の一環で生徒による模擬選挙を行ったところ、市選挙管理委員会が公職選挙法の「人気投票の公表の禁止」規定を理由に、事後であっても報道機関に結果を一切公表しないよう、高校に伝えていることが15日、分かった。総務省は選挙後の公表について、「法抵触の恐れはない」としている。
大江高は、選挙や社会制度を学ぶ府教委の「法やルールに関する研究指定校」。22日公示の参院選から選挙権年齢が18歳以上に広がるのを前に、7~10日、現代社会の授業で地元の市長選をテーマに模擬選挙を行った。3年生が立候補した2人の公約などを学び、市選管から借りた記載台を使い、97人が投票した。
同高によると、10日に担当教諭が「開票」し、実際の投開票翌日の13日に結果を生徒に知らせた。取材対応について市選管に問い合わせたところ、公選法の規定を理由に「新聞報道で結果を伝えるのはまずい。法律に触れる恐れがあるので(取材対応は)差し控えてほしい」と回答があったという。取材に対し、市選管担当者は「結果を授業で発表するのもよくないのでは」と話した。
市選管の中見信治事務局長は、公選法の「公職に就くべき者を予想する人気投票の経過や結果を公表してはならない」との条文を基に、「模擬投票結果の一切の公表は法に違反する恐れがあり、4年後の市長選への影響も考えた」などと述べた。「選管の意見を述べたが、あとは高校の判断だ」としている。総務省選挙課は「選挙結果の確定後は生徒に教えたり、マスコミに公表したりすることが公選法に抵触する恐れはない」との見解を示している。
同市長選は、元府議で無所属新人の大橋一夫氏(62)が、無所属現職の松山正治氏(78)を大差で破り、初当選した。関係者によると、大江高の模擬投票では、松山氏が「圧勝」したという。
【 2016年06月16日 08時15分 】