日銀総裁「急速な円高は経済や物価に好ましくない」

日銀総裁「急速な円高は経済や物価に好ましくない」
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日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、外国為替市場で急速に円高が進んでいることについて「日本経済や将来の物価上昇率に好ましくない影響が出るおそれがある」と懸念を示しました。
この中で日銀の黒田総裁は、外国為替市場で一時およそ1年10か月ぶりに1ドル=103円台まで円高が進んだことについて「こういった形で円高が進むことで、日本経済や将来の物価上昇率に好ましくない影響が出るおそれがある。為替の物価への影響は急速に出るというよりじわっと出てくる傾向があり影響が長引く可能性がある。こうしたことを十分に考えなければならない」と懸念を示しました。
そのうえで黒田総裁は「2%の物価目標の達成のために必要であれば、いつでも、ちゅうちょなく追加的な金融緩和を行う用意がある」と述べました。
急速な円高は、来週、イギリスで行われる国民投票で、EU=ヨーロッパ連合からの離脱派が勢いを増していて、世界経済の先行きが不透明になっているという見方から、比較的、安全な資産として円が買われていることが背景にあります。
これについて黒田総裁は「EU各国は経済統合が進むもとで大きな経済的な恩恵を受けてきた。そうしたイギリスがEU離脱の是非を問う国民投票を行うことで、金融市場も揺れている」と指摘しました。
そのうえで「日銀としてはイングランド銀行をはじめ、海外の中央銀行と緊密に意見交換を行っているところで、国際金融市場や世界経済に与える影響を注視していきたい」と述べ金融市場が一段と混乱した場合に備えて、各国の中央銀行と連携を図る認識を示しました。