ローマ法王謁見の服装に関する検証① ~海外ブログや英紙の事実誤認~

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ブログ「BBの覚醒記録」の2015年11月22日の記事
「礼儀知らずの美智子皇后、海外で赤っ恥《転載ご自由に》」
ローマ法王の前で白い服と帽子をお召しになった皇后陛下をマナー違反と批判しており、
今回はそれを検証したいと思います。

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【カトリック王国女性王族の白の特権】

BB氏は英語ウィキの「Privilège du blanc」の項目や海外ブログの記事をソースに
カトリック王国の女性王族だけに認められた「白の特権」について書かれてますが・・・
BB氏のブログ記事中には事実誤認や印象操作的な部分が見られます。


事実誤認①:現在この特権を有しているのはスペイン王妃、ベルギー王妃、
ルクセンブルク大公妃、モナコ大公妃、リヒテンシュタイン公妃だけ。


   過去にリヒテンシュタイン侯妃が認められたケースは英語ウィキにはまだ1つもありません。
   また、BB氏のリストから、イタリア王国(注①)の王家
   サヴォイア家のプリンセスが抜けています。

   英語ウィキによると2015年時点の白の特権保有者は下の7人です。(注②)
20160303005.jpg
上の画像:①ベルギーのパオラ前王妃、②ルクセンブルグのマリア・テレサ大公妃
③モナコのシャルレーヌ公妃、④スペインのレティシア王妃、⑤スペインのソフィア前王妃 

下の画像:➅ナポリ公爵夫人マリナ・リコルフィ・ドーリア(サヴォイア家のプリンセスとして)
➆ベルギーのマティルド王妃

20160303006.jpg


事実誤認②:この特権がない者が白服を着ると、
you should be prepared for a media backlash
(メディアの激しい反発を覚悟しなければならない)。


   BB氏が引用した英文はルクセンブルグ王族メインの記事を書く
   ブログ「Luxarazzi」2013年3月17日の記事からの文章です。
   このブログ主がメディアバッシングの事例として挙げたのはシェリー・ブレアだけ。

   2013年1月12日に白い服とベールで法王に謁見したモナコのシャルレーン妃に
   少し反発するような記事を書いてますので、その言い訳(又は前置き)程度の文言にすぎないかと。
   実際、このブログ主が反発したシャルレーン妃の白い服とベールの
   メディアバッシングも見かけませんでしたしね。

   メディアバッシング事例が一つだけしか出せず、
   ブログ記事に3ヵ国の王族の4人にしか認められてない特権という
   事実誤認(注③)もあるので、そういうブログの文章を検証せずに
   真に受けるのは不適切だと思われます。


印象操作①:「女王陛下(エリザベス女王)でさえ黒服だったのに
彼女はよほど自分を大人物だと思っているらしい」


   これはBB氏のブログ記事にある英国のテレグラフ紙のシェリー・ブレア批判の翻訳です。
   この記事はBB氏のソースの一つである英語ウィキの記載
   「(シェリーの白い服は)右翼プレスに批判された」のソースとして
   リンクが貼られてました。

   エリザベス女王でさえ黒服というのはテレグラフ紙の印象操作
   にあたるかと思います。黒服じゃない時もありますもの。
20160226005.jpg
   批判記事が出たのは2006年ですが、2006年以前(1982年)にも
   青いワンピース姿で法王に会ってますからね。

   こういう印象操作的な記事だけを引用するのはBB氏の印象操作とも言えるのでは?
   英語ウィキにはテレグラフとは相反するガーディアン紙の記事リンクも
   すぐ下にあるんですから、公正を期すなら、それも紹介すべきじゃ?


印象操作②:シェリーブレア女史は昨日、本来はカトリックの
女王のための特権であるところの、
白服で法王に謁見してバチカン周辺が驚きと憤りに包まれた

20160226008.jpg

   前述の英語ウィキにリンクのあるガーディアンの記事を読むと、
   コンファレンスのためヴァチカンを訪れたブレア夫人は、
   ローマ法王に突然招待され、サプライズで10分間だけ謁見したそうです。
  
   突然の謁見だったため、敬虔なカトリックのブレア夫人が、
   白服で謁見することになってしまったとも書いてありました。
   
   大勢の聴衆の前で会ったわけでもなく、個人的な謁見だったため、
   騒ぐ様な観衆もなく、もちろん事情を知るバチカンの司教たちが騒ぐはずもなく・・・

   このテレグラフ記事中に掲載されたシェリー批判は、全部、
   ブレアの政敵で元大臣のAnn Widdecombeの言葉です。
   英語ウィキによると、この女性は保守統一党所属で、1997年に労働党のトニー・ブレアに敗れ、
   退陣したジョン・メージャー政権で閣僚を務めた方だそう。

   ブレア夫人が夫の政敵(右派)にヒステリックに貶されただけなのを
   右派の新聞がスキャンダラスに書き立てただけの記事ですわ。

   また、この英文記事の最後の文章には恣意的にサプライズ謁見を隠す印象を受けますし、
   当時の白の特権保有者を3人と書く、事実誤認も見られます。
   (ファビオラ妃やマリナ公爵夫人が抜けてました。)

   こんな記事をソースにするなんて・・・・朝日の慰安婦報道を元に強制連行説を正当化する
   韓国人と似たようなレベルじゃないかしら___________

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【今回の検証の感想】

ローマ法王との謁見で、白い服が許される「白の特権」について
ほとんど無知だったため、検証は新しい発見の連続で楽しかったですわ♪

(シェリー・ブレアの件は当時、ガーディアン等の英文記事を読んで
ニュースの背景(突然の謁見)は既に知っておりましたががが!)

外交マナーについて書くのは、明文化されてない事柄も多くて、
どうしても記事が長くなりがち・・・

皇后陛下の白い服がローマ法王の前でマナー違反に当たるかどうかは
次回の記事に書きたいと思います。

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【注釈】

注①:イタリアでは国民投票の結果を受け、1946年6月2日にイタリア王国からイタリア共和国に。
   イタリア王国の王家サヴォイア家は英語ウィキによると世界で最も古い王族の一つで、
   王制廃止後も名門貴族として認識されてるそうです。

注②:アメリカの雑誌「People」の2016年1月16日の記事(リンク)や、イギリスのデイリーメール
   2016年1月18日の記事(リンクは下の画像出典元リンク一覧のトップ)でも、
   白の特権保有者は英語ウィキのリストと同じメンバーで現在7人だと書かれています。

注③:その海外ブログの記事中、「白の特権」保有者はパオラ妃、ファビオラ妃、
   マリア・テレサ妃、ソフィア妃の4人としてます。
   ベルギーのファビオラ妃が亡くなったのは2014年12月5日なので、
   ブログ「Luxarazzi」記事配信時の「白の特権」保有者であってますね。

   また、ベルギーのマティルド王太子妃が王妃になったのは2013年7月21日、
   スペインのレティシア王太子妃が王妃になったのが2014年6月19日なので、
   記事配信時は「白の特権」保有者ではありません。これもあってますが・・・
   ナポリ公爵夫人マリナ(2003年5月18日に「白の特権」使用)が抜けてます。

   ブログ主があえてモナコ公国を抜かしてるのはわかるのですが、サヴォイア家が抜けており、
   3ヵ国の王族だけになったというのも事実誤認ですね。

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【画像出典元リンク一覧】

白い服の女性王族(パオラ妃、マリア・テレサ大公妃、シャルレーヌ大公妃
レティシア王妃、ソフィア前王妃 、ナポリ公爵夫人マリナ)と、
ローマ法王と謁見するシェリー・ブレア → Daily Mailより
杖をつくマティルド王妃 → Hello Magazineより
エリザベス女王とローマ法王 → Telegraphより

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