「中央銀行バブル」が完全にはじける時

ギリシャ神話「イカロスの翼」状態は続かない

FEDは利上げの先延ばしを決定。何かのきっかけでインフレが起きたらどうなるのだろうか(4月に金融政策を語る3氏。左がイエレン議長(写真:AP/アフロ)

注目のFOMC(米公開市場委員会)が終了した(日本時間では16日)。 英国ではいわゆるBREXIT(EU残留か離脱かをめぐる問題)での国民投票を23日に控え、「米国の中央銀行FEDは、利上げのリスクをとらない」という市場の事前予想は、結果として正しかった。

利上げ先延ばしは「暴露」されていた?

そもそも昨年12月の利上げで2月に株の下落があったばかりだ。その後株価は回復したが、オバマ政権によって指名されたイエレン議長を含む5人のFRB理事達が、ヒラリーの足を引っ張るような利上げをやりたいはずがない。

少し気になったのは、3週間ほど前、米系の証券会社が一部の富裕顧客向けに紹介した「あるチャート」の存在だ。そこではFED関係者が口先で利上げの可能性を示唆しても、実際は利上げをせず、先延ばしする今の仕組みが「暴露」されていた。

どういうことか。簡単に解説すると

① 市場に対して「利上げする」と脅す(FED Threatens Hike )

② 結果、株価が下がる(Markets Tank)

③ すると、今度は利上げを先延ばしする(Fed Delayed Hike)

④ 結果、株価は回復する(Markets Recover )

この① ~④を繰り返すことで、FEDは実際にFFレートを変更せずとも、利上げと同じ効果を市場にもたらしていたことを解説している。

ただFEDはこの種の資料が巷に出回るのを嫌う。なぜなら仕組みが市場参加者に浸透すると、各メンバーの利上げ予想(ドット)や要人スピーチといった、いわゆるフォワードガイダンスはその効果を失うからだ。

そうなると、いくらタカ派的発言をしても、市場は信用しない。結果、過剰なリスクテイクが進むことをFEDは恐れる。結局FEDは、威信を守るために、本当はやりたくない追加利上げに追い込まれるリスク。ただし今回はFOMCを前にBrexitの懸念が増幅され先週から株価は下 落していた。この環境なら、FEDは利上げをする必要はなかったのだろう。

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