最大野党に活動停止命令 王室、弾圧姿勢強化
【カイロ秋山信一】ペルシャ湾岸の島国バーレーンの裁判所は14日、政府が解散を求めているイスラム教シーア派主体の最大野党ウェファクの活動停止を命じる仮処分を下した。国営通信が報じた。バーレーンでは2011年以降、中東の民主化要求運動「アラブの春」の影響で、多数派のシーア派を中心に少数派のスンニ派王室の独裁に抗議する運動が続いているが、王室は野党への弾圧姿勢を強めている。
国営通信によると、裁判所は仮処分決定で、ウェファクの解散を巡る判決が出るまでの間、本部の閉鎖や資産の凍結も命じた。国営通信は「決定は、ウェファクが法治の原則を脅かし、テロや過激主義の土壌を作ったことに基づく」と報じた。
バーレーンと友好関係にある米国務省のカービー報道官は14日に声明を出し、バーレーン政府がウェファクの解散に動いていることについて「深く憂慮している」と述べ、自制を求めた。
バーレーン王室は11年、同じスンニ派王室が統治するサウジアラビアなどの軍の協力を受けて、反体制運動を弾圧。ウェファクへの締め付けも強めており、ウェファク党首のサルマン師は14年12月に逮捕され、今年5月に「暴力を扇動した」などとして禁錮9年の判決を受けた。最近は反体制的な人権活動家の逮捕も相次いでいる。
一方、バーレーン王室はシーア派国家イランがウェファクなどの「反体制運動を支援している」と非難している。サウジとイランは今年1月に断交しており、両国の中間に位置するバーレーン情勢を巡っても対立関係が続いている。