「EV電池はパナ製のみ」 テスラCEO発言に戸惑うサムスンSDI

「EV電池はパナ製のみ」 テスラCEO発言に戸惑うサムスンSDI

 電気自動車(EV)などに使われる蓄電池を生産する韓国のサムスンSDIが、米EV大手テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の発言に気をもんでいます。マスク氏は8日、短文投稿サイト「ツイッター」で新型EV「モデル3」の蓄電池について「パナソニックと独占的に取り組んでいる」と公言しました。

 モデル3はテスラの大衆車市場向けのEVで、3月の予約開始から3カ月ほどで約40万台の予約が舞い込むほどの人気ぶりとなっています。マスク氏のツイートは、「テスラがEV用の蓄電池をサムスンSDIからも調達する方向で最終調整している」とする日本経済新聞の5日付報道に反論したものです。

 サムスンSDIはマスク氏のツイートに表立った反応は見せていません。取引先との秘密維持の問題もあり、今後のテスラとの関係も考慮せざるを得ないためです。しかし、内部ではかなり面食らっているようです。

 同社はこれまで、モデル3に蓄電池を供給するため総力戦を繰り広げてきたといいます。財界の関係者は「テスラは調達先を多様化するような動きを見せてきたし、サムスンSDIもテスラへの供給を目指して蓄電池の研究開発(R&D)を進めてきた。こうした状況を否定するツイートに、サムスンSDIは不意打ちを食らった様子だ」と伝えています。

 もちろん、韓国メーカーはテスラへの供給の可能性は依然開かれていると期待しています。テスラがパナソニックと共同で来月完成させる米西部ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」での生産量が、需要に追いつかないと分析されるためです。この工場は2020年に完全稼動に入り、モデル3・50万台分の蓄電池を毎年生産することになりますが、モデル3は発表から間もないにもかかわらず、すでに約40万台の注文が入っています。テスラとしても、調達先をパナソニック1社に絞れば価格交渉で不利になる恐れがあり、予想外の事態に対処が難しくなることも、調達先を増やすとみられる根拠です。

 いずれにしても、グローバル市場を牛耳る韓国の蓄電池メーカーがさほど関心を寄せていなかったテスラが、モデル3という革新的な車で脚光を浴び、両者の力関係は入れ替わりました。韓国蓄電池メーカーが一日も早くライバル社を超える卓越した技術力を確保し、テスラが韓国製蓄電池を買わなければやっていけない日がくることを願っています。

柳井(リュ・ジョン)記者
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