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いつか、あなたも必ず「飛ばされる」

「左遷論」著者・楠木新氏×河合薫 特別対談(1)

2016年6月16日(木)

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 年功序列が崩壊する中、会社人生で転機を迎える時期はどんどん早まりつつある。

 「理不尽な左遷にも理由がある」「左遷もまた人生のスパイスである」――。

 話題の書『左遷論』の著者・楠木新さんと、『「穴あけ」勉強法』を刊行した当コラムの著者、河合薫さんが「左遷」をテーマに忌憚のない意見を交わす特別対談の前編。今回は、左遷のリアルなメカニズム、左遷のバリエーション、会社員が「左遷」という言葉を使う際の隠された心情などを話題に、話が進みます。
(編集部)

「左遷」は日本独特の言葉

河合:楠木さんが書かれた『左遷論』を読ませていただきまして、左遷という言葉は、組織の中にいる人から出てくる特有の言葉なんだなと感じました。

楠木:たしかにそうですね。左遷って、明確な定義があるわけじゃなくて主観的な言葉なんです。左遷であるか否かは、本人の受け止め方次第です。たとえば横滑りと思われる異動でも希望した部署でなければ左遷と表現されがちです。

楠木 新(くすのき あらた)氏 1954年神戸市生まれ。京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に、経営企画等を経験。勤務のかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演などに取り組む。2011年まで関西大学商学部非常勤講師。『人事部は見ている。』『サラリーマンは、二度会社を辞める。』『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』『左遷論』など著書多数(写真:鈴木愛子、以下同)

河合:仕事なんて理不尽なことの連続ですよね。特に…

楠木:人事異動はその代表例でしょう。人事部にいた私が言うのだから間違いありません(笑)。まずは業務上の必要から空いているポストに人をあてはめるというのが基本なので、どうしても本人にとって意に沿わないことになりがちです。

 「左遷」は個人ベースでは非常によく使われる言葉なのですが、実はメディアで使われることは極めてまれなんです。日本経済新聞の2010年7月から2015年6月までの5年間の朝刊・夕刊を対象に「左遷」という言葉を検索してみたんですが、わずか38件しかなかった。客観的に左遷かどうかを判断しづらいのでメディアとしては使いにくい言葉なんだと思います。

河合:一つの人事が、ビジネスパーソンのキャリア人生を大きく変えることはよくわかります。フィールドインタビューでも、釈然としない人事への恨みつらみはよく聞きますし、異動させる側の上司も苦渋の選択を迫られ、悩むことも多い。ただ、人事異動って、単に所属や仕事が変わるだけではなく、内部の事情という係数が加わることで意味合いが大きく変わるんだなぁと…。楠木さんの著書を読んで改めて感じました。

 私の連載の編集担当さんも異動で替わったりしますが、本人からしたら、私の担当を外れるというだけの単純な話じゃないのかもしれませんね(笑)

 ただ、私は自分に経験がないので、「はずされた」とか、「とばされた」という感覚がいまひとつ理解できない。落ち込むだけトコトン落ち込んだら、あとはネガティブな感情をエネルギーに変えて、前に進むしかないじゃん、踏ん張ろうよ!って思うわけです。リストラされた人の方が、直後のショック度は大きいけど、開き直りも早いように感じます。

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「いつか、あなたも必ず「飛ばされる」」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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