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ホーサクっ

41歳サラリーマン。まいにちなんとか400字

野生の風

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夜明け前の動物園に来ていた。まだ動物達は眠っている。監視員も疲れて眠っている。僕は動物園の入り口の柵からよじ登りゆっくり音を立てないように園内を歩く。カメラを取り出し動物たちの寝顔にシャッターを切る。

ヨダレを垂らしている年老いた象。たまに悲鳴に似た鳴き声をあげる子猿。頭をピンク色の翼に入れ一本足で眠るフラミンゴ。僕は昼間、人間の目に晒され続けている彼らが寝ているときは大草原にいると信じている。

ゴオッと一瞬、風が吹き、彼らは目覚める。

象が、猿が、キリンが、プレーリードッグが、フラミンゴが、ライオンが、パンダが、モルモットが、ヘビが、カメレオンが、大草原で捕食し、鳴き、交尾し、新たな命が生まれ、古い命が消えていく今日もまた。

動物園に朝が来た。

季節外れの台風にのってやってきた野生の風の匂いを嗅いで、南の空を見上げた。真っ赤な朝陽が動物たちの体に優しく降り注ぐ。僕はカメラをリュックにしまい柵をよじ登り、スーツのシワを丁寧に伸ばし電車に乗る。

ビル街に朝が来た。

満員電車の中で僕は彼らと同じ夢を見る。