解像度と言う言葉は、コンピュータ関連の雑誌やカタログなどで結構目にして、今では耳慣れた言葉になっています。でも、実際はどんなものなのかよく解っていない方が大半です。これまで印刷業界に携わってきた私でも100%完全に理解しているとは言い切れません。解像度とはそれほどややこしいものなのです。
それでも、今回私の少ない知識を総動員してなるべく解りやすく解説してみました。なるべくややこしい話は省いて、単純にこれだけ知っていれば何とかチラシや広告などの印刷物は作れる。と言うレベルで抑えておきました。
広告やチラシどの印刷物にとって、この画像解像度は重要なポイントになります。解像度の設定がキチンとされていないと、写真がギザギザになったり、モザイクがかかったように仕上がってしまい、せっかく良くできたデザインも台無しになってしまいます。適正な印刷を行う上でかなり重要なウエイトを占めています。
そして解像度と言うものは、色んな種類があり実質的に意味が違うものでも同じように「解像度」と表現され、非常にややこしくなっています。出来る限り解りやすく解説したつもりですので、これから広告やチラシの制作をお考えの方は、参考にしてみて下さい。少し小難しい点もあるかと思いますが覚えておくと役に立つと思います。

まずはじめに「解像度」とは、単純に画像データのピクセルの並んだ密度のことを「解像度」と言います。
普通のプリント写真(いわゆる銀塩写真)に詳しい方は「解像力」や「分解能」と同じと考えておられる方もみえますが、意味的には全く違いますので、ご注意下さい。
そして、一口に解像度と言っても実は色々な意味があります。大きく分けると「画像解像度」「入力解像度」「出力解像度」の3種類になります。中でも一番重要となってくるのが「画像解像度」です。この3つの解像度は一般的に同じ「解像度」と表現されていますが、実は意味が全く違うのです。
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画像解像度というものは、ピクセル数が多くなればなるほど、写真の細かいところまで鮮明に描写されます。従って、このピクセル数が緻密になればなるほど、写真を大きく引き伸ばしても画質はそれほど荒れる事がありません。
つまり、画像データ内のピクセルが、プリントされた時に1インチの幅の中にピクセルが何個入っているかという「ピクセルの密度(細かさ)」の事を「画像解像度」と言いいます。
例えば、2000×3000ピクセルのデジカメで撮影した画像を、何もトリミングしないで2×3インチの大きさでプリントした場合、1インチあたりに1000ピクセル並ぶことになります。これを1000dpi(Dots
Per Inch)と言います。
また、同じ画像を、倍の4×6インチにプリントすると、500dpi、更に倍の8×12インチでプリントすれば250dpiということになります。
一般に、人間の目では、約250dpi以上の画像解像度なら画像のギザギザ(ジャギー)は確認できず、結果的には画質の劣化は認められない事になります。
これを踏まえて、もっと単純に、実用的に説明しますと、広告やチラシなどの印刷物を作る時の重要なお約束として、「原則として、原寸(最終仕上がりの大きさ)で350dpi」の画像解像度が必要。と言うことを覚えておいて下さい。
このお約束を元に解説しますと、プリント写真そのままの大きさで印刷を行うのであれば、原寸で350dpiでスキャンニングすればOKということになります。
また、プリント写真の2倍の大きさで印刷をしたいのなら、原寸で700dpiもしくは、プリント写真の2倍の大きさで350dpiでスキャンニングを行えばOKということになります。
但し、私の経験上、家庭用のスキャナーで最初から2倍の大きさでスキャンニングするよりも、大きさは原寸で解像度が2倍の700dpiでスキャンニングされて後で2倍に拡大した方が、トラブルも少なくて済みます。
あと、最近の家庭用スキャナーは性能もかなり向上し、3200dpiなど、「入力解像度」が高くなりました。これはあくまでも「入力解像度」であって、厳密には「画像解像度」とは違います。しかも、実際にスキャンニングソフトを立ち上げてみると、更にそれ以上の6400dpiや12800dpiなんていう解像度が表示されますが、あまり信じない方が良いでしょう。この解像度でスキャンニングしてしまうと、実際は、3200dpiしか読みとる能力しか無いにもかかわらず、それ以上解像度でスキャンニングしようとする訳ですから、スキャナー側又は、ソフト側が勝手にピクセルの穴埋め(補間処理)を行ってしまいます。そうすると、結果的に画像があれる事になるのです。
ですから、家庭用フラットスキャナーでスキャンニングする際には、極端に大きな解像度でスキャンニングしない方が良いでしょう。
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広告やチラシなどの印刷物を作る時の最適な解像度は「原則として、原寸(最終仕上がりの大きさ)で350dpi」基本的なのですが、ではどうやって最終の仕上がりの大きさを調べるのかと言いますと、普段私たちの作業の様子から説明すると解りやすいかと思います。
まず、大まかにページ立てを行い、次にレイアウト(配置決め)を行っていきます。このだいたいのレイアウトが決まれば、だいたいの大きさが解りますので、ここからスキャンニング作業が始まります。
でも、いきなりこんな事をやろうとしても、慣れていない人には全く無理なことになってしまいます。では、編集やデザインが全く決まっていない場合、どうしたら良いのでしょうか?
答えは、スキャンニングする前に、ひと通り写真を眺めて、特に大きく扱いたい写真とそうでない写真に区別します。そして、大きく扱いたい写真は、先程のようにプリント写真サイズの3〜4倍(1050dpi〜1400dpi)でスキャンニングし、残りの特に大きく扱わなくても良い写真は、プリント写真サイズの2倍(700dpi)程度でスキャンニングすれば、ある程度データ量は軽減されますし、後のレイアウト・デザインの作業が柔軟に行える事になります。
なぜ、こうなるのかと申しますと、最適な印刷結果を得る為には、最終的に印刷される大きさの原寸で350dpiの「画像解像度」が必要ですから、プリント写真をそのままの大きさ・350dpiでスキャンニングし、その画像を2倍の大きさに拡大した場合は、論理的には半分の解像度の175dpiになってしまうのです。
人間の目で画像のギザギザ(ジャギー)が確認できなくなるのは250dpi以上という事から考えても、明らかに解像度が足りませんから、「なるべく大きくスキャンニングしよう。」ということになるのです。
因みに、画像を大きくすると画像があれる事は解りましたが、逆に小さく扱う場合はどうなのかと申しますと、結論から言えば、全く問題ありません。例えば、350dpiでスキャンニングしたプリント写真を半分の大きさで配置した場合は、論理的には倍の解像度となり、700dpi相当になります。これは、印刷するには十分過ぎる程の解像度(オーバークオリティ)になり、厳密に言えば画像劣化の対象になるのですが、小さくなってしまうので人間の目では確認できるレベルではなくなってしまいます。ですので結果的には縮小する分にはいくら縮小しても構わない事になります。
※ここで述べた画像の大きさは、全てプリント写真からスキャンニングする事を想定し、導き出した大まかな値です。
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スキャナーは、通常スキャンニングソフトを立ち上げ、スキャンニングを行う時に解像度を設定する事ができます。これを「入力解像度」と言います。単位はやはり、dpi(=Dots
Per Inch)です。
スキャナーの原稿台に置いた原稿の1インチの幅の絵柄を何本の走査線で読み分けるのかという意味です。
例えば、2×2インチ8(約6cm四方)を1200dpiでスキャンニングすると、1辺に1200dpi×2インチ=2400ピクセルの画像データが得られる事になります。
ですから、「入力解像度」と言うものは、読み取り密度と言ったほうがしっくりくるのかもしれません。
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カラープリンタ等の出力する機械には、その出力時の走査線の密度(解像度)が最初から決まっています。これを「出力解像度」と言います。
例えばインクジェットの場合ですと、通常1200dpiとか1440dpi等と、かなり大きな数値を目にしますが、これはインクの粒1個を吹き付ける密度を表しているものなのです。しかし、インクの粒1個では、画像のピクセルとは違い濃淡を表現する事ができませんので、通常は数個のインクを組み合わせて吹き付けることによって表現しています。
従って、インクジェットプリンタに最適な「画像解像度」は、お使いのプリンタの「出力解像度」の整数分の1が良いとされています。
一般的には、1/4がベスト、1/6が推奨、1/8が最小になります。例えば、1440dpiのプリンタの場合、1/4で360dpi、1/6で240pi、1/8で180dpiと言うことになります。
では、同じプリンタで「1/2の720dpiなどの高解像度ならもっと綺麗に出力されるのか?」と言っても残念ながら1/4の360dpiの時以上に画質が良くなる事はありません。ですから、この場合の1440dpiのプリンタでは、360dpiが画質の上限と考えて良いでしょう。
この720dpiなどの高解像度の画像が、1440dpiに対してオーバークオリティと言うものです。
また、本格的な商業印刷や写真集に合わせた画像解像度は、網点(印刷物をよ〜く見ると見える点々の事)線数の2〜2.5倍程度が最も適した「画像解像度」になります。と言うことは、通常の本格的な印刷では、この網点が1インチ間に175個並んでいますので、175×2=350dpiと言うことになります。
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普通のコンパクトカメラ、又は一眼レフカメラを使って撮影された場合、35mmのネガフィルムになります。この場合は、やはり専門店に依頼してフォトCDに焼く方法が
良いでしょう。
理由としましては、35mmフィルムは非常に小さいものですので、家庭用スキャナーで35mmのネガから印刷用に綺麗にスキャンニングすることはまず不可能に近いのです。そうなると多少お金はかかりますが、やはり専門店に依頼してフォトCDに焼く方がベストだと考えられます。レタッチや色補正等もやってもらえますので、自分で四苦八苦するより手間は省けます。
因みに、弊社の調べで岐阜の某大手カメラ屋さんにお伺いした所、
【ネガ(ポジ)からフォトCDを焼く場合】
●CD同時プリント----フィルム1本分で500円(24枚又は36枚)
●1コマ80円×ネガ枚数+500円 ※500円はCD代
との事でしたので、ご参考にしてみて下さい。(2004年12月調べ)
また、もし専門店でフォトCDに焼く場合はコダックのお店をお薦めします。これは宣伝でも何でも無いのですが、弊社も色々と試してみた所、コダックのフォトCDが一番大きく、しかも適正な画像を得ることができたからです。もし、お使いのフィルムがコダック社のフィルムでなくても問題なく仕上がります。
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家庭用のコンパクトカメラタイプのデジカメはまず使えないと思って下さい。名刺に入れる程度やホームページをつくるのなら大丈夫ですが、広告やチラシなどの印刷物を作る際には基本的に、原寸(最終的に出力される大きさ)で350dpiの解像度が必要になるからです。
単純に、プリント写真の2倍の大きさで、印刷をしようとすると、プリント写真そのものの大きさで画像解像度が700dpiの画像でなければならないことになります。従って、コンパクトタイプのデジカメデータでは到底得られない大きさの
画像となってしまうのです。
では、どんなデジカメならOKなのかと申しますと、一概には言えませんが、一眼レフタイプのデジカメで、撮影時の画像の大きさが最大のものであれば、使えるかと思います。
では、「コンパクトタイプのデジカメで撮った写真は全く使えないのか?」と申しますと、実は一つだけ対策方法があります。それは、デジカメで撮った写真を一度プリント専門店でプリント写真にして頂き、そのプリント写真をスキャンニングすれば、デジカメデータから広告やチラシなどの印刷物を作ることが可能になりますが、大きな画像データを使うときに比べるとやはり画像はやや荒れる事になります。ですが、お使いのデジカメがコンパクトタイプのデジカメであった場合、一番適している方法であると言えます。
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