進化論の記事を読んだので思うところを書きます。
この記事の感想ではないです。
個体の成長は関係ない
まず、進化論ですが「種」の進化についての言及なので、個別の成長については言及していないです。
そのため、社会に適用して「努力して生き残る」みたいなのは、全くのナンセンスです。
努力したキリンが生き残るわけではないです。
全ての個体は生き残り種を残すために努力していると思いますので、その点でイーブンです。
弱肉強食とは限らない。強肉弱食ということも
進化と弱肉強食は、同じレイヤーの話ではないです。
弱肉強食は、ある時点の生態系を切り取った場合の食物連鎖の話で、時間軸上の変化の仕方を説いた進化論とは別次元の話になります。
そして、強肉弱食ですが、進化という視点で食物連鎖を見た時に、「食べる側」が「食べられる側」より「進化している」ということは一概にいえません。
例えば、下記の種は、弱い種なのでしょうか?
- グッピー
- 野うさぎ
- イワシ
これらの種は、「食べられるよりも早く増える」という生存戦略をとっています。
そのため、自然界の食物連鎖上、下位に属しているにもかかわらず、種を残すことに成功しています。
そして、世代交代が早いということは、遺伝子の多様性を獲得するチャンスが多いということなので、思わぬ外乱にも強く生き残る力があると思われます。
例えば、イギリスのアナウサギは、増えすぎたためウイルスによる駆除が試されました。
効果はテキメンで、99.9%が死滅したそうです。
しかし、絶滅には至りませんでした。僅かに残ったアナウサギは免疫を獲得し、現在ではウイルス使用前の20%ほどまで回復しているとあります。
つまり、種としての危機を乗り切ったわけです。
個体としての生き残る強さでは、ライオンやマグロに軍配があがるでしょうが、種としての生き残る強さとは関係がありません。
生態系のバランスとバランスブレーカー
生態系というのは、食べたり食べられたりしながら、バランスが保たれて安定しています。
しかし、個々の事例では少しずつ特性の違う個体の集合なので、とある拍子に偶然その生態系の中で突飛に有利な特性を獲得するものが現れてしまうかもしれません。
よく、進化論ではキリンが登場しますが「キリンの首はなぜ長いのか」について、自分はこう考えます。
あるとき、安定した生態系の中で、ちょっとだけ首の長い個体が生まれました。
この個体は、周囲の個体よりも高い枝の葉を食べることができ、より生き残ることができます。
鼻が長かったり、耳が長かったり、目が大きかったりする個体は、この生態系の中では特別に有利な条件を引き出すことができず、どんぐりの背比べをしています。
その中で、「首が長い」ことだけが、生き残りに有利に働いた場合、個体間の序列にアンバランスが生じます。
すると、その種の特性の変化は「首が長い」というアンバランスが、他の要因によって有利さを失い、バランスするまで一気に進みます。
周りの植物を食べるのに十分な大きさになるとか、肉食獣に見つかりやすくなるとか、首の長さが不利に働く瞬間がやってくるはずです。そうすると、首の長さはそこで安定するようになります。
こうして、キリンという種は、他の種と大きく異なった特性を持ちながら、安定した種として、次のアンバランスを迎えるか絶滅するまで生き残るというわけです。
このアンバランスの発生から、収束までは劇的に変化します。
途中の状態を保っているメリットがないからです。
そのため「キリンに成りかけ」のような種は、現在の地球上では見ることができないのです。
後に人間が見たら、途中の状態が「すっ飛んでいる」ため、突然変異で現れたように見えるかもしれませんが、それは違うはずです。
アンバランスから再びバランスするまでの期間が短すぎるだけなのです。
iPhoneの登場と収束
こうした状況は、iPhoneが登場した時の携帯電話の世界に似ています。
それまでは、各社似たような種類の機種をリリースしてどんぐりの背比べ的な競争を続けていました。
そこへ、iPhoneが颯爽と現れると、それまでの携帯電話を駆逐して、一大勢力としてこの世界に君臨したわけです。
その変化は劇的に訪れました。
その後、身体を少しずつ大きくしたり、色々な機能を追加したりと、熟成を続けながら版図を拡大し、タブレットや時計などの亜種を生み出しながら安定期に向かっています。
このような変化は、劇的に訪れ、すっかり世界を変えてしまうまで止まることはありません。
スマートフォンは、すでに新しい驚きはなくなっています。
また、世界が変わるようなアンバランスがどこかで生まれるはずです。