東京都の舛添要一知事が15日、辞職する見通しとなった。参院選を意識した対応が目立った都議会と、リオデジャネイロ五輪まで持ち出して延命を図った舛添氏。進退を巡る一連の騒動に、識者は批判を通り越してあきれ気味だ。
「人間、往生際が大事だとつくづく思う」。漫画家の倉田真由美さんは舛添氏の印象をこう語り「言葉に真実味がなく、何を言っても響かなかった」と批判した。
舛添氏は14日の議会運営委員会で、東京がリオ五輪で笑いものになるとして延命を懇願したが、「知事でいる方が笑いもの。ただ、他の人にも政治資金の問題はあるはず。責め立てる政治家も見苦しい」とばっさり。
スポーツ評論家の玉木正之さんも「五輪開催都市の知事や市長の名前を覚えている人なんていない。舛添氏が辞めても誰も東京を笑わない。ほとぼりが冷めるのを狙った詭弁(きべん)」と言い切った。
これまでの政治資金を巡る説明にも一貫性がないと批判。「リオで求められているのは単なる次期開催都市の首長ではなく、責任を持って次の五輪のコンセプトを語れる人」とも語った。
精神科医の香山リカさんは「個人攻撃が続く状況に違和感はあるが、社会的に容認されない状況をつくったのも舛添さん自身」と指摘。「自尊心が強く、政治資金を自身のために使っていいという傲慢(ごうまん)さが見えた。都議らも参院選を意識して、都政を考えているように見えない」と分析した。(共同)